Research Abstract |
一般式ABO_3で表わされるペロブスカイト型酸化物は,その構造的安定性からA,Bサイトカチオンを他種の金属元素で部分置換することが可能であり,様々な機能物性を生ずる.しかし,これまで報告されているものはA,Bサイトカチオンが不規則化したものが殆どであるため,本研究ではこのうちBサイトイオンが1:1あるいは1:2規則化構造をとるダブルあるいはトリプルペロブスカイトに着目した.本年度は特にダブルペロブスカイトの合成を中心に行い,その構造解析やプロパンの酸化活性試験による触媒活性評価を行った.具体的には,A^<2+>_2B^<2+>B^<6+>O_6,A^<2+>B^<2+>B^<6+>_<1-y>B'^<6+>_yO_6,A^<2+>A'^<2+>B^<2+>B^<6+>O_6,A^+A^<3+>B^<2+>B^<6+>O_6,A^<2+>A^<3+>B^+B^<6+>O_6(A^<2+>,B^<2+>=Mg,Ca,Sr,Ba,Ni,Co,Zn,Cu,Cd,B^+=Li,Na,K,B^<6+>=W,Mo)を蒸発乾固法やセラミックス法にて調製した.その結果,構成元素,特にイオン半径にペロブスカイト単相生成範囲が大きく依存すること,また,最適な焼成温度は構成金属元素の酸化物の融点との相関性が高いことが示唆された.AサイトにBaとSrを有する複合系(A^<2+>_2B^<2+>WO_6-A^<2+>_2B^<2+>MoO_6),あるいはBサイトにWとMoを有する複合系(Ba_2B^<2+>WO_6-Sr_2B^<2+>WO_6)では,それぞれW,Mo,Ba,Sr単独の系においてペロブスカイト単相が得られるものであれば,複合系に関しても単相を得ることができることがわかった.これらの試料について,プロパンの酸化活性試験を行った結果活性はB^<2+>イオンに大きく依存し,遷移金属系が高活性を示し,IIA族,IIB族カチオンを有するものの活性が低い傾向があることが明らかになった.この中でも特にCo系が最も高活性を有することがわかった.
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