2007 Fiscal Year Annual Research Report
構造変化から見る生命エネルギー変遷の進化メカニズムとそれを利用した応用生物工学
Project/Area Number |
17360400
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黒田 章夫 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (50205241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片柳 克夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20291479)
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Keywords | アデノシン三リン酸 / 生命エネルギー / ポリリン酸 / グルコキナーゼ / 構造解析 / 進化 |
Research Abstract |
アデノシン三リン酸(ATP)は生命エネルギーの通貨と言われ、多くの酵素がATPをエネルギー源あるいはリン酸化の基質として利用している。我々はポリリン酸をリン酸化の基質として利用するポリリン酸グルコキナーゼ(PolyP-GK)を発見した。ATPグルコキナーゼ(ATP-GK)とPolyP-GKの一次構造の比較からATP-GKは比較的小さなドメインを獲得してPolyP-GKから進化したものと考えられた。そこで、ATP-GKとPolyP-GKの立体構造を詳細に比較して、ポリリン酸を基質にする動作原理と、ポリリン酸を基質にする動作原理と、ポリリン酸からATPへ変化した生命エネルギー変遷の進化メカニズムを解明することを目的とした。スプリング8においてPolyP-GKの結晶を解析し、得られた回折像から構造解析を行った。さらに本年度はPolyP-GKとポリリン酸(P4)の共結晶体の回折像から構造予測をした結果、25番目のリジン等が関与するポリリン酸結合サイトが明らかになった。またビフィズス菌由来のポリリン酸とATPの両方を利用するグルコキナーゼ(PolyP/ATP-GK)の立体構造も解析した結果、構造的にほとんど同じであり、またPolyP-GKと同様に非常にポジティブな電荷が連続したユニークな領域が見られた。今後さらに精密化して構造比較を行い、PolyP-GKの反応機構や、PolyP-GKがなぜATPを利用することが出来ないかを構造的、進化的に解明する。
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