2007 Fiscal Year Annual Research Report
外惑星および恒星間領域探査に向けたセイル型宇宙機の性能に関する気体力学的研究
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17360408
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 宏二郎 The University of Tokyo, 大学院・新領域創科学研究科, 准教授 (10226508)
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Keywords | 深宇宙探査 / 極超音速空気力学 / 耐熱膜材料 / エアロアシスト / ソーラーセイル / 柔構造飛翔体 / プラズマ風洞 |
Research Abstract |
本年度は惑星大気圏飛行時の空気力を利用(エアロアシスト)することでソーラーセイルの能力を高める方法について重点的に研究を行った。ソーラーセイルの持つ太陽光反射用の広大な膜面は,惑星大気圏飛行時に空気力を発生する。このとき,惑星重力と揚力の和を遠心力と釣り合わせることで,衛星の軌道は大きく曲げられ,惑星重力圏を脱出する際に惑星公転速度分だけ,燃料を使わずに増速できる。 まず,ソーラーセイルを柔構造極超音速飛翔体としても利用可能であること実証するため,東京大学柏キャンパスのマッハ7極超音速風洞で実験を行った。ワイヤで輪を作り,それに膜面を張るフープ支持極超音速膜面揚力飛行体を考案した。膜面にソーラーセイルと同じポリイミド材を用い,複数のフープを組合せてデルタ翼形状とすることで,極超音速飛行時の耐熱性,耐空力荷重性を確保し,5程度の揚抗比の実現が可能であることを示した。 次に,前年度に開発を行った外惑星大気飛行模擬希薄水素プラズマ風洞および既設の炭酸ガスレーザーを用い,膜材料の耐熱性評価実験を行った。発光分光法により回転や振動等の各種気流温度計測を行った後,ポリイミド系フィルム,耐熱繊維の布材,ケイ酸塩系水素ガスバリア膜を加熱した。いずれも高い耐熱性と低損耗性を示すが,空力荷重に対する強度に差があり,高強度材と高耐熱材をコーティングや接着で組合わせるものが有望であることがわかった。 以上を踏まえ,ソーラーセイルとエアログラビティアシストの組合せによる深宇宙探査機について検討を行った。全長約220m,総重量410kgの機体に対し軌道最適化の結果,太陽系脱出速度はソーラーセイルのみで20km/sだったものが30km/sまで増速することが示された。これはカイパーベルトまで約30年で達する速度であり,第1世代の恒星間領域探査機として実現性の高いものであることがわかった
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Research Products
(6 results)