2005 Fiscal Year Annual Research Report
親水性吸着剤を充填した蒸留塔によるトリチウム水濃縮分離の高効率化の研究
Project/Area Number |
17360443
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深田 智 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (50117230)
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Keywords | トリチウム水 / 蒸留塔 / 同位体分離 / 濃縮 / 吸着剤 / HETP / ITER |
Research Abstract |
定常運転核融合炉において、熱出力1GW当たり発生する1.8MCi/dayのトリチウムをブランケットからすべて回収するとともに、核融合炉システム全体からトリチウム漏洩率を定められた安全基準の10Ci/day以下に抑制することが核融合炉の安全運転に科せられている。例えばITER炉システム内で常時発生するトリチウム水の除染のため、充填塔高さが50mを超える塔が数本必要であることから、装置小型化が重要な解決課題になっている。本研究者は、既存の金属製充填剤を使った水蒸留法の同位体分離係数と理論段あたりの高さ(HETP)を上昇させ、既存の技術に基づき評価された塔高さを最大1/4にまで小さくすることを研究目的にし、本実験研究を開始した。研究は親水性吸着剤のHTO親和性を連続同位体分離に適用することを基本に考えており、まず研究の初年度において、市販の親水性吸着剤シリカゲル(直径3.4mm球)を充填した高さ32cmのガラス製蒸留塔をトリチウム実験室で製作し、トリチウム水蒸留実験をおこなった。その結果、同位体分離係数はステンレス製ラシヒリング充填材を使った場合の1.028から1.04-1.05に上昇しほぼ倍増した。これは予測通りシリカゲルの持つHTOへの親和性に起因すると考えられた。さらに段モデルを用いた計算結果と実験結果の比較から、HETPが約5cm程度であることが分かった。このHETPは、従来の気液接触を最適化したラシヒリング充填剤と同程度の値であり、今後市販の球形吸着剤をラシヒリングあるいはディクソンリングタイプに加工することにより、さらにHETPの改善が図れる見通しを得た。現在までに初年度の研究計画を達成し、蒸留塔のトリチウム水同位体分離に関する定常状態の実験結果をすでにFusion Engineering Science誌に公表し、非定常状態の実験結果と解析結果は日本原子力学会誌欧文誌の2006年4月号に発表される。
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Research Products
(6 results)