2006 Fiscal Year Annual Research Report
省資源・高経済性炉心用カドリニア分散型ウラン酸化物燃料の熱・機械特性測定
Project/Area Number |
17360458
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松井 恒雄 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (90135319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 正雅 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (40273289)
有田 裕二 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教授 (50262879)
岩崎 航太 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (90359753)
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Keywords | 酸化物燃料 / 粒子分散 / 熱伝導率 / UO_2 / Gd_2O_3 |
Research Abstract |
現在、軽水炉では炉心の初期反応度制御のためにUO_2に可燃性毒物であるGd_2O_3を固溶させた燃料を用いているが、このような固溶型燃料はUO_2に比べて試料ペレットの熱伝導率が大きく低下するという欠点を有している。発電コストの削減においてはウラン濃縮度増加による核燃料の高燃焼度化が有効であるものの、固溶型燃料ではGd_2O_3添加量増加に伴う燃料の熱伝導率低下が問題となることから、高熱伝導率を有する新規な燃料の開発が望まれている。本研究では、UO_2燃料の熱伝導率改善を目的として、従来の固溶型試料ではなくUO_2マトリックス中にGd_2O_3粒子を分散させた分散型試料を作製し、その熱伝導率、及び高温安定性の評価を行った。 Gd_2O_3粒子(添加量10wt.%)、及びUO_2粉末を混合し焼結することで分散型試料を得た。分散型試料の熱伝導率は300-1373Kの温度域においてUO_2や固溶型試料と同様に温度の上昇に伴い減少する傾向を示した。分散型試料の熱伝導率はUO_2の熱伝導率よりは小さい値であったものの、10wt.% Gd_2O_3固溶型試料と比較して高い値を示し、最大で約1.5倍高い熱伝導率を得ることに成功した。分散型試料の熱伝導率の値と温度依存性は3wt.% Gd_2O_3固溶型試料の挙動に相当するものであった。試料の高温安定性に関しては、分散型試料を2793Kまで約40K/sで昇温させた場合においても試料は破砕せず、高温域においてもペレット形状を維持することが確認された。 本研究により、Gd_2O_3粒子を分散させることでUO_2燃料の熱伝導率は固溶型試料に比べ大きく向上することが明らかとなり、また試料ペレットは実用に耐えうる機械特性を有することが示された。本研究の成果は核燃料の高燃焼度化、及び発電コストの低減に大きく貢献するものと期待される。
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