2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘起触媒の探索とその非均質系における反応機構の解明
Project/Area Number |
17360461
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山田 禮司 Japan Atomic Energy Agency, 原子力基礎工学研究部門, 研究主幹 (90370486)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永石 隆二 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (00354895)
北辻 章浩 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (30354898)
籏野 嘉彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, センター長 (90016121)
|
Keywords | 放射線誘起還元反応 / 放射線誘起水素生成反応 / 放射線分解 / 酸化物 / 2次電子 / 表面反応 |
Research Abstract |
放射線触媒では、励起電子や正孔による表面反応過程よりも2次電子放出による水溶液内の反応過程が重要であるとの推測がある。ここでは、2次電子放出率が異なる金属の中から、酸性水溶液に比較的安定なSi,Ti,Zr,Mo,Wを選択し、それらの金属粉末ないしは2mm厚の金属板を添加した水溶液での放射線触媒反応による水素生成率の測定を行い、酸化物の場合と比較した。その結果、金属板添加と無添加の水素生成率には顕著な違いは見られず、金属元素による違いも見られなかった。2mm厚の酸化物板添加水溶液では、ZrO_2以外の酸化物では添加の効果は特に見られず、ZrO_2においても板状に加工した際の表面状態に依存する水素の増加を観測したと考えられる。一方、粉体を添加した場合、TiO_2粉末では水素発生率の増加が純水及び0.4MH_2SO_4水溶液で観測されたが、Ti粉末では効果が無かった。Si,Mo,W粉末では、対応する金属酸化物よりも水素発生率は幾分大きくなり、金属表面での酸化反応による水素発生が観測されたと思われる。これらの結果は、水素発生に効果的な形状は板ではなく粉体であり、放射線触媒反応における表面の重要性を示唆している。 結晶構造や比表面積の効果を調べる目的で、α、θ、γアルミナとアルミナ水和物について、その放射線触媒反応を調べた。その結果、結晶構造が同じ場合には比表面積が大きい試料での放射線触媒反応による水素発生率が大きいこと、更にFe不純物量が小さい試料では水素発生率が大きくなるとの結果を得た。白金族担持酸化物では、無担持の酸化物と比較して金属イオンの還元がより促進することが分かった。また、MgSi酸化物であるアスベストに属するクリソタイル(Mg_3Si_2O_5(OH_4)粉末を含む0.4MH_2SO_4水溶液に、γ線ないしは電子線を照射することで、顕著な水素発生とアスベスト繊維の分解を同時に実現できることを明らかにした。
|
Research Products
(2 results)