2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360466
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 広重 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (70283413)
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Keywords | プロトン導電体 / 燃料電池 / 化学的安定性 / ドーパント / イオン半径 |
Research Abstract |
500〜700℃程度で作動する燃料電池の開発を目指し、これに適した電解質材料としてこの温度領域において、安定に作動する可能性のあるバリウムセレート系酸化物について、この系に化学的安定性を付与する手法を探索した。プロトン導電性の発現に必要なドーパントカチオンの種類を変化させたときの導電特性と水熱安定性の評価を行った。 BaCeO_<0.9>M_<0.1>O_<3-α>の組成において、ドーパントMにイオン半径の異なる種々の3価のカチオンをY(r=90pm)〜Sc(同73pm)の間で選択し、湿潤水素中および湿潤空気中の導電率を400〜900℃の範囲で測定したところ、導電率はイオン半径が大きいほど高かった。一方、400℃における水熱安定性は、ドーパントがYb(r=87pm)かそれより大きい場合には不安定であり、Lu(r=86pm)かそれより小さい場合には安定であった。さらに化学的安定性の定量評価法として、炭酸ガスとの反応温度を調べたところ、ドーパントのサイズが小さいほど低温であった。炭酸ガスとの反応平衡における温度が低いほど化学的に安定であると言うことができ、ドーパントのサイズが小さいほどBaCeO_3が安定化することが判った。 以上の結果より、ドーパントのサイズが導電性と安定性に影響することが判明した。ドーパントが大きいほど導電性は高いが化学的安定性は下がり、逆にドーパントを小さくすることは格子エネルギーを大きくすることには有利であるが、導電性が下がる。400℃の場合、ドーパントをLuとしたときには導電率がそれほど下がることなく(ドーパントがYのときとほぼ同等)、かつ水熱的に安定であることから、燃料電池をこの温度で作動させる場合には有利なドーパントの選択であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)