2005 Fiscal Year Annual Research Report
エゾヤチネズミにおける個体数変動の地理的変異と個体群の遺伝的空間構造の関係解明
Project/Area Number |
17370006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齊藤 隆 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (00183814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 光司 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (80002301)
石橋 靖幸 独立行政法人 森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究官 (80353580)
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Keywords | エゾヤチネズミ / 個体数変動 / DNA / 周期性 / 地理的変異 |
Research Abstract |
北半球北部の森林に生息する動物の個体数は年次的に大きく変動し,その一部は周期性を示すことが知られており,変動メカニズムの解明は生態学の中心課題となっている.また,変動様式には大きな地理的変異があり,多様な変動様式をもたらす要因やメカニズムの解明に関する研究はNature, Scienceなどの学術雑誌で注目されている.北海道のエゾヤチネズミ個体群では,個体群の変動様式に地理的勾配が見られ,密度依存性は北東に向かうほど強くなり,密度依存性が強い北東地域の個体群の繁殖期は短く,密度依存性が弱い南西地域で繁殖期は長い.このように,変動様式,密度依存性,生活史はよく一致した地理的勾配を示し,相互に密接な関係があるものと考えられる.本研究の目的は,エゾヤチネズミは局地的に適応した生活史を持ち,密度依存性の変異を通して変動様式の地理的勾配をもたらしていると仮定し,局地適応がもたらすであろう個体群の地理的な遺伝的構造と生活史,密度依存性,変動様式の関係を分析することである. 今年度は,DNA分析用標本を北海道全域から収集するための体制を確立した.定期的に野鼠生息調査を行っている北海道森林管理局の協力を得て,全道73地点から443個体の標本を得ることができた.これに独自収集した16地点の標本約200個体を加え,分析のための基盤を作ることができた.現在,mtDNAと頭骨標本の形態分析を順次進めている.mtDNAは当初予定したコントロール領域では多型性が高すぎて空間構造がよく把握出来ないという問題点が明らかになったため,チトクロームb内に分析対象領域を変更することにした.また,形態分析においては想定よりも小さな単位で地域変異を見いだせる見通しとなった. 来年度は,補足的な標本採集と上記の分析を進めて,目的の達成をはかる.
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Research Products
(1 results)