2007 Fiscal Year Annual Research Report
加速度のマイクロ計測による潜水性海鳥の最適採食行動の研究
Project/Area Number |
17370007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
綿貫 豊 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (40192819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 克文 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (50300695)
森 貴久 帝京科学大学, 理工学部, 講師 (90367516)
高橋 晃周 北海道大学, 国立極地研究所, 准教授 (40413918)
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Keywords | 行動学 / 海洋生態 / 生態学 / 先端機能デバイス / 環境変動 |
Research Abstract |
ベーリング陸棚斜面および陸棚域では、海氷の強度と融解時期が海洋生態系におおきな影響を与え、潜水性の海鳥はこのような環境変化に対して適応的に、餌や潜水戦略を変えている物と期待される。アラスカのプリビロフ島で、ハシブトウミガラスに深度温度ロガーまたは加速度深度ロガー(D2GT)を装着しその採食行動を調べるとともに、雛への餌の観察、胃内容物の調査、血液の安定同位体比の分析によって、これらの個体の食性を明らかにした。2007年は海氷の融解時期が早く、2004,2006年に比べて水温は全体的に高かった。2004年には主にイカナゴを、2006年にはイカ,カレイ,タラなど多様な魚を雛に持ってきていたが、2007年の主要な餌はイカであった。この3シーズンの比較を通して、水塊特性と潜水行動の関係を解析した。その結果、ハシブトウミガラスは、年によって、海氷状況の変化とともに変わる水温構造と,それによって生じる餌生物の種組成や鉛直分布の違いの影響を受け,異なる年の間で採餌潜水行動を変化させているものと考えることができた。また、親自身のためには、菜食場所での採食効率の良い餌を、雛のためには給餌速度の高い、つまり大形の獲物を、捕獲しようとすると期待された。その予想を確かめるため、2006年と2007年には親自身の餌と雛に持ち帰った餌の比較を行った。その結果、予想通り、親自身は0歳のスケトウダラやオキアミを、雛には多様な魚と1歳のスケトウダラを持ち帰ること、雛のための採食と考えられるトリッツプ最後のバウトでは深くまで潜ることがあきらかとなった。それは、これらの大形の獲物が分布する深い深度まで潜る必要があるためと考えられた。これらより、あるトリップの中でも異なる目的のために最適な潜水を行っていると考えられた。
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Research Products
(4 results)