2006 Fiscal Year Annual Research Report
クロロフィルdの分布とAcaryochlorisの微生物生態学的解析
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17370009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮下 英明 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (50323746)
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Keywords | クロロフィル d / Acaryochloris / PCR-DGGE |
Research Abstract |
平成18年度は、平成17年に本研究において開発した海藻からのDNA抽出法、ならびにAcaryochlorjs属シアノバクテリアのSSU rRNAを特異的に増幅するプライマーを利用したPCR-DGGE法を用いて、これまでにモデルサイトとしてきた淡路島沿岸の海藻サンプルに加え、室蘭(北海道)、伊勢・志摩沿岸(三重県)、宮津市沿岸(京都府)の異なる海域から海藻を採取し、それら地域におけるAcaryochlorjs属シアノバクテリアの分布とその遺伝的多様性を明らかにした。さらに、海藻全体から色素を抽出後、HPLCを用いてクロロフィルdを検出して、各調査地点で採取された海藻の生物種とクロロフィルdの検出量の相関について検討した。 その結果、1)紅藻類に限らず、緑藻類、褐藻類を含む、解析したすべての海藻から抽出したDNA中にAcaryochlorjs属シアノバクテリアのSSU rRNAが検出された、2)これまで淡路島沿岸から2つの系統型が検出されていたのに加えて、室蘭、伊勢・志摩、宮津の海藻DNAからは、最大95%相異なる系統型を含む、多数の系統型が検出された。これらの結果から、Acaryochlorjs属シアノバクテリアは、海藻の葉上生物として日本沿岸に広く分布していること、さらに、日本沿岸に分布しているAcaryochlorjs属シアノバクテリアには種レベルで異なる可能性を秘めた遺伝的多様性が存在することが明らかとなった。さらに、3)海藻から検出されたクロロフィルdの量は、同種の海藻が常に高い含量を示したわけではなく、単にAcaryochlorjs属シアノバクテリアが特定の紅藻類に付着し易いわけでは無いことが明らかとなった。このため、歴史的にクロロフィルdが紅藻類から検出されてきた理由については、さらに詳細な検討が必要であることがわかった。
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Research Products
(1 results)