2007 Fiscal Year Annual Research Report
クロロフィルdの分布とAcaryochlorisの微生物生態的解析
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17370009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮下 英明 Kyoto University, 地球環境学堂, 准教授 (50323746)
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Keywords | クロロフィル d / Acaryochloris / PCR-DGGE |
Research Abstract |
平成19年度は、PCR-DGGEによる特異的検出系を利用したAcaryochloris spp.の分布とその遺伝的多様性の解明、並びに、HPLCを用いたChl dの検出・定量法の改良と、それを利用した日本沿岸におけるChl dの現存量を推定することを行った。 まず、日本および南アフリカ共和国の沿岸で採取した海藻、石、海水からDNAを抽出し、これを鋳型として、Acaryochloris属に特異的なプライマーセットを用いてPCR-DGGEを行った。その結果、いずれのサンプルからもAcaryochloris spp.に由来する複数の遺伝子型が検出された。また、各海藻から色素を抽出し、Chl dの定量を行ったところ、Acaryochloris spp.は必ずしも紅藻に多く付着しているわけではないことが明らかとなった。このことから、Acaryochloris spp.は付着生物として様々な基質に付着し、世界中に広く分布していることが示唆された。一般的なHPLCの条件ではChl bとdの保持時間がほぼ同じであり,Chl dの正確な定量が困難であった。そこでまず,Chl bとdを分離するためのHPLC条件を探索した。その結果,固定相にC18カラムを,移動相にアセトニトリル/アセトン/水の混合溶媒を用いることによって,両色素を分離することが可能となった。さらに,蛍光検出器を用いることで微量のChl dを検出する事が可能となり,Chl bに対して0.05%程度の濃度のChl dであっても定量することができた。この方法を用いて実際に日本沿岸で採取した海藻についてChl dの定量を行ったところ,採取場所や採取時期によって異なるものの,海藻に検出されるChl dの量はChl aに対して平均で約1%以上にも及ぶことが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)