2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物の開花調節経路の分子生態学:自然条件下における開花調節の変異
Project/Area Number |
17370010
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
工藤 洋 神戸大学, 理学部, 助教授 (10291569)
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Keywords | フェノロジー / 開花制御 / FLC / アブラナ科 / シロイヌナズナ属 / タネツケバナ属 / RNA転写 / 自然変異 |
Research Abstract |
1.研究の目的 好適な時期に花を咲かせるしくみの自然変異と進化を明らかにすることが目的である。開花調節経路の鍵となる遺伝子のmRNA量をパラメータとして、自然条件に生育する植物個体の開花調節と環境の時間的・空間的変動との関係を解析する。シロイヌナズナ近縁種3種を対象とする。 2.平成18年度の実績 タチスズシロソウ、タネツケバナの2種に加えて、ハクサンハタザオの研究も開始した (1)タチスズシロソウ:開花調節における北方集団と南方集団の変異と、発芽直後のFLC転写レベルとの関係を明らかにすることを目的としている。 本種は異質倍数性起源であるために2セットのゲノムを含んでいる。推定両親種の遺伝子塩基配列を決定し、制限酵素認識部位の多型を利用してタチスズシロソウのFLC転写産物が両方のゲノム由来であることが明らかになった。両FLCをあわせた転写量を測定したところ、実生時の転写量に集団間変異がみられた。それぞれ片方のゲノムを特異的に定量するためのプライマーは得られなかったので、特異的プローブを用いた定量法を試みる予定である。 (2)タネツケバナ:開花調節の地理的変異を対象に、アメダスのデータと発芽直後のFLC転写レベルとの相関を調べることを目的としている。 本州全域の開花応答の変異のデータに基づき、最も開花応答性の異なる2集団のFLC転写量を比較した。 バーナリゼーション反応性から予測されるFLC転写量の差異が検出された。 (3)ハクサンハタザオ:野外調査区においてフェノロジーの継続調査を開始した。データロガーの設置による環境条件の連続測定を行っている。野外サンプルによるmRNA量の定量法を確立し、10月よりFLCレベルの経時変化を1週間に1度の頻度で測定している。野外気温の低下に応答したFLCレベルの低下が見られた。
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