2006 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイニンによる植物の細胞周期M期進行の制御に関する研究
Project/Area Number |
17370016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
町田 泰則 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (80175596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正樹 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (10242851)
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Keywords | 植物細胞 / 細胞周期 / M期 / MAPキナーゼ / myb転写因子 |
Research Abstract |
我々は、すでにNACK-PQR経路と名付けたMAPキナーゼカスケードを中心としたシグナル経路が、植物細胞の細胞質分裂を正に制御していることを見いだした。本研究の眼目は、この経路が、サイトカイエンによる制御を受けているかどうかを調べることである。これまでに、この経路はNACK1(NACK2)というキネシン様タンパク質とNPK1 MAPKKKが結合することで活性化することを見いだしている。また、NACK1遺伝子の転写はM期特異的であり、これがこの経路の活性化に必須であることも見いだした。さらに、この転写は、M期に活性化されるCDKによるMYBのリン酸化によって著しく上昇することがわかった。本年度は、このCDKがNACK1とNPK1をリン酸化すること、リン酸化型NACK1とNPK1は結合しないこと、つまりリン酸化はNACK-PQR経路の活性を抑制することがわかった。この結果は、CDKがM期の中期で、サイクリンの分解により不活性化されること、NACK-PQR経路のキナーゼの活性が、M期中期以降に上昇するというこれまで知見をよく説明できる。つまり、NACK-PQR経路の活性化には、CDKにより付加されたリン酸基の脱リン酸化が重要であると期待される。 また、この経路の下流の因子の研究も進み、MAPキナーゼの基質としてMAP65が明らかにされ、さらにこのリン酸化が、微小管の遠心的拡大を促進していることを明らかにした。 以上の研究から、今後の研究の焦点は、CDKやサイクリンB遺伝子の転写、あるいはCDKの活性化、不活性化、また脱リン酸化にかかわるホスファターゼの活性化に、サイトカイニンがどのように関わっているかを調査することであろう。
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Research Products
(5 results)