2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17370018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷 あきら 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40183082)
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Keywords | 植物 / シグナル伝達 / 蛋白質 / 光応答 / フィトクロム |
Research Abstract |
本研究で我々は、器官/組織特異的にphyBを発現する様々な形質転換植物を作出し、その光応答を花芽形成の制御を中心に比較した。その結果、子葉の葉肉細胞phyBが維管束におけるFT遺伝子発現を抑制することで花芽形成が遅延することが明らかとなった。さらに、phyBとは拮抗的に働くcry2についても同様の解析を進めるべく、cry2-GFPを組織特異的に発現する遺伝子導入シロイヌナズナ系統を作出した。 また、フィトクロムの細胞内シグナル伝達機構の解明に向けて、phyBのN-末端領域内のアミノ酸置換変異を多数同定しその性質を詳しく調べた。まず、phyBのN末端領域を発現するシロイヌナズナを変異原処理し、phyB応答である赤色光による胚軸伸長阻害が弱まった変異体を多数単離した。さらに、これらのうちからphyB遺伝子内に変異体生じたものを選別し当該遺伝子の塩基配列を決定した。この結果、phyBのN末端領域において、その生理活性を低下させる新規のアミノ酸置換変異を14見いだした。これらの変異型phyB断片について、発色団の結合、差スペクトル、暗反転速度などを調べ、分光光学的性質に直接関わる変異の多くが、直接の発色団結合サイトであるGAFドメインやPfrの安定性に関わるPHYドメイン内に存在することを見いだした。さらに、分光光学的な活性に影響を与えずに生理活性を低下させる、いわゆるシグナル伝達変異が発色団結合部位の近傍に一箇所とN-末端側のPASドメインに複数存在することが分かった。これにより、フィトクロム分子のN-末端側領域は、発色団に隣接してその性質と深く関わる領域と、下流の因子にシグナルを伝達する領域に分けられることが示唆された。
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Research Products
(3 results)