2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミンによる植物の花茎伸長制御機構の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
17370023
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 卓 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20271710)
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Keywords | シロイヌナズナ / ポリアミン / 形態形成 / 突然変異 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
シロイヌナズナの花茎伸長に特異的な欠損を示す変異株ac15の原因遺伝子ACL5が、ポリアミンの一つであるスペルミンの合成酵素であったことから、茎伸長におけるスペルミンの作用機構を明らかにするために、ac15の茎伸長が回復したサプレッサー変異株を複数(sac51〜54)単離し、それらの原因遺伝子の同定と相補実験による確認をすすめてきた。今年度の主要な成果は以下のとおりである。 1)サプレッサー変異株の1つsac53について、詳細な染色体マッピングから、変異箇所を含むゲノム領域を第1染色体上腕の約1,100kbの領域に狭めた。 2)サプレッサー変異の原因遺伝子が機能未知のタンパク質をコードしていることがわかったSAC54について、T-DNA挿入変異株を得て表現型の観察をすすめたところ、葉の形態異常や花芽形成遅延などの異常を認めた。 3)ac15変異株の種子にエチルメタンスルホン酸を用いて変異誘発を行い、新たなサプレッサー変異株の探索を行った。その結果、新たな優性変異に加え、劣性のサプレッサー変異株の候補を数ライン単離した。 4)酵母の2ハイブリッド法を用いて、ACL5タンパク質と相互作用するタンパク質の探索に着手した。候補タンパク質について、再現性を検証する段階に至っている。 5)ACL5遺伝子の分子進化的な起源を明らかにするために、ヒメツリガネゴケのACL5相同遺伝子の単離を試み、そのクローニングに成功した。ヒメツリガネゴケのACL5タンパク質は343アミノ酸からなり、分子量39kDa、シロイヌナズナACL5との相同性は52%と推定された。
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