2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17370033
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 筑波実験植物園, 主任研究官 (50280524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三吉 一光 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教授 (60312237)
横山 潤 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (80272011)
上野 修 農業生物資源研究所, 生理機能研究グループ・物質代謝研究チーム, チーム長
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Keywords | 植物 / 担子菌 / 進化 / ラン科 / 解剖学 / 分類学 / 形態学 / 共生 |
Research Abstract |
種子への菌の侵入と初期生育時の絶対菌寄生を特徴とする「ラン型菌共生」は、ラン科の多様性を導いたキー・イノベーションであり、この形質革新が生じた分岐図上の位置を特定することが、ラン科の系統進化を理解するために必須である。しかし既往の研究では、ラン科と近縁分類群の共生菌相について不明な点が多い。したがってラン科で最初期に分岐した群、ヤクシマラン亜科の菌根菌の種類や性質を知ることは、上記の問題を解明するうえで重要である。そこで、本亜科に属し九州南部に稀産するヤクシマラン(Apostasia nipponica)の菌根菌を6地点で採取し、nrDNA ITS領域の塩基配列情報で分子同定した。その結果、菌根菌はすべてCeratobasidiaceaeに所属することが判明した。Ceratobasidiaceaeは異形担子菌綱に所属し、ラン科の複数の系統で「ラン型菌共生」を営んでいることが知られている。根の皮層における形態学的な特徴と併せ、ヤクシマラン亜科においても「ラン型菌共生」の存在する可能性が高いことが明らかになった。またすべてのサンプルの菌根菌は100%同一の塩基配列であり、ITSの塩基置換速度から推定すれば同一種の菌が共生している可能性が高い。これまでに得られた他のラン科の菌根菌のデータと比べると著しく特異性が高いので、共生者の特異性がヤクシマランの分布を局限している可能性がある。
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Research Products
(3 results)