2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17370033
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
遊川 知久 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 植物研究部, 研究主幹 (50280524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三吉 一光 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (60312237)
横山 潤 山形大学, 理学部, 准教授 (80272011)
上野 修 農業生物資源研究所, 生理機能研究グループ・物質代謝研究チーム, チーム長 (70414886)
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Keywords | 植物 / 担子菌 / 進化 / ラン科 / 解剖学 / 分類学 / 形態学 / 共生 |
Research Abstract |
種子への菌の侵入と初期生育時の絶対菌寄生を特徴とする「ラン型菌共生」は、栄養摂取様式に重大な影響をもたらす。したがって「ラン型菌共生」は、ラン科のさまざまな固有派生形質の獲得とそれに伴う多様化を導いたキー・イノベーションであり、この形質革新が生じた分岐図上の位置を特定することが、ラン科の系統進化を理解するために必須である。この問題を解明するためには、ラン科で最も早く分岐した群、ヤクシマラン亜科(subfamily Appostasioideae)の菌根菌の種類や性質を知る必要がある。そこで本亜科に属するヤクシマラン属(Apastasia)4種の菌根菌を日本と東南アジアの11地点で採取し、核とミトコンドリアDNA上のリボソ-ムRNA遺伝子の塩基配列情報を用いて分子同定した。その結果、本属の菌根菌はBotryohasidium、Ceratobasidium、Tulasnellaに所属することが判明した。担子菌類全体の分子系統解析の結果、これらは真正担子菌綱の"cantharelloid clade"に所属し、互いに近縁であることが明らかになっている。これまでの研究結果を整理すると、"cantharelloid clade"に属する菌がラン科の大部分の系統群で「ラン型菌共生」を営んでいる。また検出された菌根菌の形態学的な特徴は、「ラン型菌共生」に特有のものである。一方、ラン科にもっとも近縁な分類群となるキジカクシ目(order Asparagales)では、アーバスキュラー菌根菌との共生のみが知られている。以上の結果から、「ラン型菌共生」はラン科の共通祖先で獲得した可能性が高いことが明らかになった。
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Research Products
(5 results)