2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17370033
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
遊川 知久 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 植物研究部, 研究主幹 (50280524)
|
Keywords | 植物 / 担子菌 / 進化 / ラン科 / 解剖学 / 分類学 / 形態学 / 共生 |
Research Abstract |
20年度はラン科サカネラン連の系統と菌従属栄養性の進化に着目し、以下の諸点を明らかにした。サカネラン連は6属約190種で構成され、主にユーラシア大陸と北アメリカの温一亜寒帯に分布する。本連においては独立栄養種と菌従属栄養種が混在しているため、連内で栄養摂取様式が複数回シフトしたと推定される。またこれまでの研究の結果、担子菌門と子嚢菌門にまたがる多様な分類群の菌と菌根を形成することが明らかになった。20年度の研究では核と色素体塩基配列情報を用いて本連内の系統関係を明らかにし、菌従属栄養性ヘシフトした分岐図上の位置を特定した。さらに得られた分岐図を参照体系として、本連における菌根菌相の変化が、系統、栄養摂取様式、生育環境のいずれと相関しているか検証した。その結果、以下の点が明らかになった。1)サカネラン連において菌従属栄養性は3回進化した可能性が高い。2)外群比較の結果、本連の主要な菌根菌パートナーは、担子菌門の"cantharelloid clade"から、キンラン属において担子菌門のイボタケ科へ、カキラン属の1分岐群で子嚢菌門のチャワンタケ目へ、サカネラン属において担子菌門のロウタケ科へ、リモドルム属において担子菌門のベニタケ科へ、それぞれシフトしたことが示唆された。3)独立栄養性から菌従属栄養性への進化に伴って菌根菌パートナーの特異性が高くなった。以上の結果から、本連の菌根菌相の変化は、系統とともに栄養摂取様式の変化と相関することが明らかになった。
|
Research Products
(5 results)