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2005 Fiscal Year Annual Research Report

クロマチン構造を変換する因子群の構造解析

Research Project

Project/Area Number 17370035
Research InstitutionTokushima Bunri University

Principal Investigator

葛原 隆  徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (00260513)

Keywordsがん細胞 / ヘリコバクター・ピロリ / TNF-α / Tipα / NF-κB / ドメイン / ペニシリン結合タンパク質 / 進化
Research Abstract

クロマチン構造変換を、外部の細菌からのシグナル伝達を通したがん細胞内のクロマチン変換機構という局面で捉えるという独自の観点から解析することを、本研究の目的としている。ヘリコバクター・ピロリはグラム陰性のらせん菌であり、ヒトの胃の炎症や発がんにおいて主な要因となっている。がん細胞に対して、胃内の感染菌であるヘリコバクター・ピロリは、独自のシグナル伝達因子により、胃がん細胞を活性化、クロマチン構造変換を通してがん化を促進する。
我々はこれまでにヘリコバクター・ピロリにおいて、細胞由来の発がんプロモーターであるTNF-αを誘導する因子としてTipαを同定し、Tipαが発がんを誘導する活性を有すること、NF-κBを活性化することなどを報告してきた。
本年度は、Tipαのドメイン構造について、その相同性から解析を行った。これまでTipαはヘリコバクター・ピロリ以外には明確なホモログを有していないため、機能的に保存されたドメインを同定することが困難であった。Tipαの進化上保存されたドメインやアミノ酸からTipαの機能を類推する目的で、Tipαと弱い相同性を有する因子をPsi-Blast法を用いて検索した。その結果、Tipαは多くのグラム陽性菌のペニシリン結合タンパク質と弱い相同性があること見出した。ペニシリン結合タンパク質は、酵素ドメインなどの複数のドメイン構造よりなるが、ペニシリン結合タンパク質の2量体形成ドメインとTipαは相同性を有し、Tipαが2量体を形成することと対応した。
Tipαとグラム陽性菌のペニシリン結合タンパク質群に対して系統樹解析を行った結果、Tipαはヘリコバクター・ピロリ自身のペニシリン結合タンパク質よりもグラム陽性菌のペニシリン結合タンパク質により近いことが解った。このことはTipαとペニシリン結合タンパク質が共通の祖先由来であることと、グラム陽性菌のペニシリン結合タンパク質遺伝子が水平伝播によりヘリコバクター・ピロリに移動しTipαが形成された可能性が示唆された。
Tipαが発がんプロモーターであり、グラム陽性菌ペニシリン結合タンパク質の中にはMRSAの原因遺伝子であるMecAがあることを基にして、発がん因子や薬剤耐性因子の遺伝子群が遺伝子の水平伝播を起こしていること、遺伝子の水平伝播と病気との関係についても議論した。
これらの結果は薬学会誌に投稿、受理され、表紙に選択された。また国際シンポジュームとして、韓国における「日韓がん老化シンポジューム」において発表し、好評を得た。
さらに、お茶成分であるカテキンが核酸と相互作用することを見出し、新規な作用機構を提出した。この結果は現在、アメリカ生化学会誌に投稿中である。

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Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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