2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカルの高い反応性を利用する酵素とその活性化蛋白質の構造生物化学
Project/Area Number |
17370038
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
虎谷 哲夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70026318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛松 孝正 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (30188768)
森 光一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (50379715)
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Keywords | ラジカル酵素 / B12補酵素 / ジオールデヒドラターゼ / 再活性化因子 / 立体構造解析 / 分子シャペロン / 国際情報交換 / オーストリア |
Research Abstract |
(1)ホモアデノシルコバラミンを用いたB12酵素の活性部位の検索 ジオールデヒドラターゼ、エタノールアミンアンモニアリアーゼにおいて、B12補酵素のコバルトとリボース部C5'との間にメチレン鎖を1個挿入したホモログは1%以下の補酵素活性を示したが、極めて高い頻度で自殺不活性化を引き起こした。メチレン鎖を2個挿入したもめは両酵素に対して補酵素活性を示さず、コバルト-炭素結合の開裂も認められなかった。これらは酵素によりコバルト-炭素結合の開裂を受けるための距離を知る上でプローブとして有用である。 (2)ジオールデヒドラターゼ再活性化因子の結晶化と予備的X線解析 B12補酵素関与ジオールデヒドラターゼの分子シャペロン様再活性化因子を大腸菌で高発現させ、精製後ADP存在下と非存在下で結晶化した。結晶はよい回折像を与え、空間群と格子定数とを決定できた。 (3)ジオールデヒドラターゼ再活性化因子の立体構造と精密作用機構の解析 ジオールデヒドラターゼは生理的な基質の1つであるグリセロールによって機構依存的不活性化を受ける。この不活性化は、副反応のためにラジカル中間体が消滅する結果、補酵素のCo-C結合が不可逆的に開裂し、損傷を受けたコファクターが酵素から離れないために起こる。我々は先にジオールデヒドラターゼ再活性化因子を発見し、それがATP依存的に損傷コファクターを酵素から解離させることにより酵素を再活性化することを示した。本研究では、この因子の結晶構造を多波長異常分散法によって初めて解明し、その構造に基づいて、損傷コファクターを酵素から解離させる精密分子機構を明らかにした。 (4)新規ラジカル酵素の探索としては、グリセロールおよびポリエチレングリコール資化性の嫌気性細菌を土壌から分離し、現在代謝経路を調べているところである。
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