2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカルの高い反応性を利用する酵素とその活性化蛋白質の構造生物化学
Project/Area Number |
17370038
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
虎谷 哲夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70026318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛松 孝正 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (30188768)
森 光一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (50379715)
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Keywords | ラジカル酵素 / B12補酵素 / ジオールデヒドラターゼ / 再活性化因子 / メチオニンシンターゼ / 分子シャペロン / ハイブリッド酵素 / 理論化学 |
Research Abstract |
(1)ジオールデヒドラターゼの活性部位残基の機能解析 ジオールデヒドラターゼの活性部位アミノ酸残基を1つずっAlaに置換し、触媒機能に対する影響を調べた。その結果、Glu170、Asp335、His143が触媒機能に必須の残基であることが分かった。これらの残基は基質や中間体の結合に関与し、また、Glu170はC1上の水酸基のプロトンを受容することにより、C2からC1への水酸基転移における遷移状態を安定化することが示唆された。 (2)ジオールデヒドラターゼの酵素化学的性質 ジオールデヒドラターゼおよび類似酵素であるグリセロールデヒドラターゼは共に(αβγ)_2の分子構造をとる。そこで、これらを種々の組み合わせで含むハイブリッド酵素を作成した結果、基質特異性や1価陽イオン特異性などの性質はαサブユニットにより決定されることが分かった。 (3)メチオニンシンターゼレダクターゼの分子シャペロン様作用 メチオニンシンターゼは、酵素反応中に超活性種であるcob(I)alaminを生成するため酸化失活を受け易いが、メチオニンシンターゼレダクターゼ(MSR)によって還元的に再活性化される。MSRは不安定なアポ酵素を安定化し、分子シャペロン様の作用を示した。 (4)AdoCb1関与炭素骨格組み換え反応におけるcob(II)alaminの役割に関する理論化学的研究密度汎関数法による理論計算で、(1)協奏的Co-C結合ホモリシスにおける遷移状態の構造、および(2)cob(II)alaminの存在による水素引き抜きの遷移状態の安定化の可能性を検証した。その結果、Co-C結合の開裂と水素引き抜きが協奏的に起こる場合、cob(II)alaminは遷移状態のエネルギー障壁を7kcal/mol低下させ、単なる傍観者ではなくコンダクターとして働くことが示唆された。
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