2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17370052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑島 邦博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70091444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槙 亙介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30361570)
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Keywords | 水分シャペロン / シャペロン / X線溶液散乱 / アロステリック転移 / フォールディング / ATP結合 |
Research Abstract |
シャペロニンは,分子シャペロンの代表として細菌から高等生物に至るまで普遍的に存在し,蛋白質の細胞内フォールディングのために特化した蛋白質分子機械として働いている。シャペロニンは分子量約6万の蛋白質分子が14個から18個会合した二重リング構造を取っており,リング内に形成される直径約80Aのキャビティ内に標的蛋白質が閉じこめられて構造形成する。シャペロニンのこの驚嘆すべき作用にはATP結合によるアロステリックな構造転移とATP加水分解などが必要とされるが,その分子機構の詳細はまだ全く不明である。本研究の目的とするところは,熱量計などによる熱力学的測定とストップトフロー法による速度論的測定を駆使して,シャペロニンの作用の分子機構を物理化学的立場から定量的に明らかにすることである。以下の成果が得られた。 ATP存在下生理的条件下にて,大腸菌のシャペロニンGroELとGroESはGroEL/GroES複合体を形成するが,GroELとGroESのモル比1:1の弾丸型複合体とモル比1:2のフットボール型複合体のいずれが形成されるのかが明らかではなかった。X線溶液散乱法を用いて生理的条件下におけるGroEL/GroES複合体の溶液中構造を直接的に観測し,弾丸型複合体が主であり,フットボール型複合体は有意には存在しないことを明らかにした。しかし,ATP+BeFx共存下では安定なフットボール型複合体が形成されることも明らかとなり,これは,シャペロニンの反応サイクル中過渡的にフットボール型複合体が生成することを示唆している。 シャペロニンGroELのATPによるアロステリック転移の速度定数はATP濃度に対して多重シグモイダルな依存性を示し,従来これは,GroELの二重リング構造に由来するとされていた。しかし,今回われわれは,GroELの単一リング変異体(SR1)においても同様の多重シグモイダル依存性が存在することを見出した。これはGroEL上に少なくとも2つ以上のATP結合部があることに由来すると考えられる。
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Research Products
(6 results)