2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17370059
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
石見 幸男 茨城大学, 理学部, 教授 (80159772)
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Keywords | MCMタンパク質 / 細胞周期 / DNA複製 / タンパク質リン酸化 / DNAヘリカーゼ / サイクリン依存性キナーゼ / 分子生物学 / チェックポイント |
Research Abstract |
主要な3課題の本年度における進展について述べる。 1.MCM4のリン酸化の生理的な意味の解明 ヒトMCM4のリン酸化の細胞周期での変動を、6種類のリン酸特異抗体を用いて明らかにした。7,19,32,54と110位のリン酸化については細胞周期のG2からM期にかけて最大となり、3位については、間期で漸次増加するがM期では減少するパターンを示した。前者のグループのM期での脱リン酸化のタイミングについては、サイクリンキナーゼの活性変動と対応する7や32位リン酸化とともに対応を示さないものも存在した。M期でのリン酸化を担うタンパク質キナーゼについては、CDK1が7,19,32,110位リン酸化の主な酵素であり、54位に関しては他のキナーゼの関与が示唆された。間期HeLa細胞のクロマチンに対するリン酸化MCM4の結合性については、3と54位リン酸化MCM4が主にクロマチンから離れた状態で存在し、7と32位リン酸化MCM4はクロマチンに対する優先的な結合性を示した。また32位リン酸化MCM4は間期で核小体に濃縮されていた。以上の結果は、細胞周期での変動やクロマチン結合性そして担当するキナーゼの種類から、部位特異的MCM4リン酸化が多様な機能を果たす可能性を示唆する。また、クロマチン上のリン酸化MCM4とDNA複製の場とが共局在性を示さないという結果は、MCM4リン酸化のMCM機能に対する抑制的な役割と矛盾しない。 2.MCM467DNAヘリカーゼに対するMCM2タンパク質の阻害効果 ヒトMCM2をタンパク質分解酵素で処理することにより、アミノ末端断片、ATP結合部位を含む中央断片とカルボキシ末端断片とに分断された。全長のMCM2に加え、上記3領域を含むMCM2などを試験管内のタンパク質合成実験により作成し、親和精製を行った。MCM2を主要なリン酸化基質とするCDC7/Dbf4キナーゼは、アミノ末端領域のみを効率よくリン酸化した。 3.他の複製制御因子とMCM467ヘリカーゼの関係およびMCM467ヘリカーゼの構造と機能の解明 MCMと相互作用すると考えられる、チェックポイント因子のClaspinと細胞周期制御因子のRbタンパク質のアミノ末端側断片を、バキュロウイルス発現系を用いた大量発現に成功し、現在それぞれのタンパク質の精製を行っている。
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