2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷における複製フォーク進行阻害とその回復過程の分子機構
Project/Area Number |
17370063
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
真木 寿治 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (20199649)
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / DNA複製 / 突然変異 |
Research Abstract |
本研究計画において見いだされたDinBタンパク質によるDNAポリメラーゼIIIポロ酵素(Pol III)のDNA鎖伸長反応の阻害について、さらに詳細な解析を行い、DinBタンパク質がこれまでに知られているDNAポリメラーゼの機能とは全く異なる細胞機能を有することを明らかにした。まず、Pol IIIに対するDinBの阻害効果は、Pol IIIとDNAが形成する開始複合体およびDNA鋳伸長反応を行っているPol IIIに作用してDinBがPol IIIからプライマーDNAを奪うことができることを新規のアッセイ系を開発して照明した。さらに、この阻害効果のベースとして、DNA上でβクランプと安定に結合しているPol IIIがDinBの働きによりDNAから解離することを見いだし、各種の変異型DinBを作成してその活性に必要なDinBの機能ドメインを決定した。変異型DinBの細胞内の挙動についても解析を行い、Pol IIIの阻害に必要なドメインが染色体複製の阻害にも必要であることを示した。染色体複製の阻害について、DNAチップを用いて詳細に検討した結果、複製フォークがゲノム上の様々な位置で停止していることを明らかにした。これらのことから、DinBは細胞周期のチェックポイント機構、特にS期チェックポイントに重要な役割を担うことを仮説として提案した。DinB自体の働きを制御する機構についても検討を開始し、少なくともrecA遺伝子に依存するSOS応答は関与しないことを明らかにした。
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