2005 Fiscal Year Annual Research Report
四肢形態形成分子機構解析によるパターン形成のコンセプト作り
Project/Area Number |
17370076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 宏治 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (70261550)
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Keywords | 四肢 / 発生 / 形態形成 / 遺伝子発現 / 鰭 / 器官形成 / パターン形成 |
Research Abstract |
まず、四肢位置の決定時期と肢芽内の前後軸の決定時期が異なることを見出し、前者が発生の非常に早い時期に決定されているのに対し後者は比較的後期になって定められることを見出した。また、軟骨魚類胚においてもshhがZPA領域に発現することを見出し、shhおよびZPAを介した肢芽前後軸形成が脊椎動物(顎口類)全体における共通のメカニズムであることを考察した。また、肢芽前端部に特異的に発現する遺伝子marioの発現部位からニワトリの前肢に存在する3本の指が1-2-3(親指-人差し指-中指)である可能性を見出した。XenopusにおけるHoxd遺伝子の発現解析からは、無尾両生類の前肢の指は従来いわれてきた1-2-3-4ではなく2-3-4-5である可能性を示唆するデータを得ている。 一方、基部先端部軸形成については詳細な細胞運命図を作成し、肢芽の発生初期においては将来の基部構造と先端構造は別の位置に存在するのではなく、両社の発生運命は広範囲にオーバーラップしていることを見出した。また、この発生運命の重なりは発生の進行に伴って狭くなっていくことがわかった。さらに、Hoxa13/Hoxa11タンパク質発現分布の詳細な解析から、肢芽先端部の細胞の性質は肢芽の発生・伸長に伴って徐々に変化していることを議論した。 以上、本年度はこれら2つの軸性に関する通説を破る実験結果を得、新しいコンセプトに繋がる実験結果としてその一部を論文で報告した。残りの実験結果に関しては現在論文作成中である。
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