2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17380002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内宮 博文 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 教授 (50142229)
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Keywords | ストレス応答 / シグナル因子 / イネ / NDA / 補酵素 |
Research Abstract |
本研究は、ストレス制御因子に焦点を当て、植物分子育種の基盤を構築する目的で行われた。生体内で種々の酸化還元反応を触媒する脱水素酵素の補酵素であるNADおよびNADPが制御する機構を解析した。補酵素は細胞内では様々な代謝系を介して合成され、多くの酸化還元反応を制御している。NAD代謝に関する遺伝工学的制御により、ストレス耐性分子育種法の構築を試み、メタボローム解析により、遺伝子の過剰発現による代謝物の変動をまず、イネ由来新規のフラボノイド合成に関与する遺伝子を解析した。本遺伝子は、ロイコシアニジン合成に関与することを明らかにした。また、同様の系において、ストレス抵抗性とNAD代謝系との密接な関係を明らかにした。ニコチンアミドヌクレオチドは、生体内で種々の酸化還元反応を触媒する脱水素酵素の補酵素である。新規のアッセイ系を利用することにより、NAD代謝系の関与するROSは発生や分化にも必須であることが、今回の研究で示された。本遺伝子の過剰発現植物は、種々のストレスへ耐性を示すとともに、NADを増加させた。また、過剰発現によりニコチンアミド補酵素の合成系が活性化した。後代植物における、代謝物の変動を解析した結果、過剰発現体ではアミノ酸組成に大きな変化は見られず、数種類の有機酸が変動した。本研究で得られたストレス耐性植物にでは、フラボノイドの蓄積とNAD(P)Hレベルの両者が重要である事が示された。ニコチンアミドヂヌクレオチドプールとストレス耐性の関連を明らかにするために、NAD(P)生合成酵素であるNAD合成酵素、NADリン酸化酵素(NADK)を高発現する形質転換植物を作出した。NADK高発現では、高いNADP、酸化ストレス耐性を確認した。結論として、NAD代謝量とストレス耐性の相関から、分子育種基盤としての補酵素による制御の重要性を提示することができた。
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Research Products
(8 results)