2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質置換コムギをモデルとした核とミトコンドリアゲノムの相互作用に関する研究
Project/Area Number |
17380007
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
寺地 徹 Kyoto Sangyo University, 工学部, 教授 (90202192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 博 京都産業大学, 工学部, 教授 (10210345)
黒坂 光 京都産業大学, 工学部, 教授 (90186536)
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Keywords | パンコムギ / Aegilops mutica / 細胞質置換コムギ / ミトコンドリア / 雄性不稔 / cox / OXPHOS / Blue Native PAGE |
Research Abstract |
本研究は、コムギの近縁野生種であるAegilops muticaの細胞質を持つ細胞質置換コムギを材料に、雄性不稔など、パンコムギの表現型に影響を与えるミトコンドリア遺伝子の探索ならびに同定を目的とする。そのため細胞質置換コムギ及び核親として用いられたパンコムギのミトコンドリアを、DNA,RNA及びタンパク質の各レベルで比較した。最終年度の平成20年度は、これまでの各種実験を総括するとともに、今後の実験に備え、戻し交配による雄性不稔系統の維持・増殖を行った。具体的に今年度は、パンコムギと細胞質置換コムギの黄化実生より単離したミトコンドリアタンパク質をIEF/SDS-PAGEにより展開し、その泳動プロフィールを詳細に比較した。その結果、細胞質置換により消失するタンパク質スポットが発見され、分析の結果、これがCOX2であることもわかった。次にこの結果をRNAレベルの解析と関連付けるため、黄化実生由来のRNAを用いてミトコンドリアcox遺伝子群のノーザン解析を行った。その結果、cox2のmRNA蓄積量に違いは見られなかったものの、coxlのmRNAの蓄積量が置換コムギでは減少していること、置換コムギとパンコムギとの間でcox3の発現様式に差が認められることがわかった。また新しい電気泳動法(Blue Native PAGE)を用いて、ミトコンドリアタンパク質複合体の比較解析を行った。その結果、COX2ポリペプチドを構成成分とするcomplexIVの存在比と活性に違いは見られず、ミトコンドリアの酸化的リン酸化(OXPHOS)経路を構成する他の酵素の活性にも違いは認められなかった。一方、Blue Native/SDS-PAGE二次元電気泳動では、各系統間のミトコンドリアタンパク質の構成に新たな違いが見出されたが、年度内にその詳細を明らかにすることはできなかった。
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