2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17380028
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
阿久津 克己 茨城大学, 農学部, 教授 (10151002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 雅己 茨城大学, 農学部, 助教授 (70301075)
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Keywords | 灰色かび病菌 / 多犯性機構 / シグナル伝達係 / Gタンパク質 / 遺伝子破壊 / 病原性関連遺伝子 / Botrytis cinerea |
Research Abstract |
本研究では、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の多犯性分子機構を解明する研究の一環として、環境からのシグナルをcAMP情報伝達系やMAPKカスケード細胞内情報伝達系へのシグナルに変換する分子スイッチとして機能するヘテロ三量体Gタンパク質遺伝子を単離・解析することを目的とした。先ず、本菌の新たなGαタンパク質をコードする遺伝子としてbcg3と、Gβタンパク質をコードする遺伝子としてbcgb1を単離し、解析を行った。これらの遺伝子の推定アミノ酸配列には、他の糸状菌のGαやGβタンパク質においてみられる典型的な保存領域が存在していることが確認された。サザンブロット解析より、B.cinereaのゲノム上に他のGα_5やGβ遺伝子は存在しないことが示され、bcg3及びbcgb1遺伝子が単一コピーであることが示唆された。RT-PCR試験により、bcg3及びbcgb1遺伝子が接種タバコ葉において非常に早い段階から発現していることが明らかとなった。これらの遺伝子の発現を定量的に解析したところ、感染時にbcg3遺伝子の発現は、他のbcg1やbcg2に比べて極めて低く、侵入時以降に限られていた。bcgb1はbcg1やbcg2と同様に高いレベルで発現していた。 これら遺伝子の機能解析のために、本菌の日本分離株を対象にプロトプラスト-PEG法による形質転換法を検討した。本菌の相同組換えによる遺伝子破壊は困難であることが知られており、欧州分離株など成功例は一部の系統に限られている。検討の結果、標的遺伝子破壊が可能な日本分離株を見出し、bcg3遺伝子の破壊に成功した。現在までに、Bcg3欠損株が既報のイタリア分離株における同変異株と同様に過剰な菌核形成を示すことを確認している。今後は、Bcg3欠損株の表現型を詳細に解析するとともに、bcgb1遺伝子の破壊実験を行なっていく予定である。
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Research Products
(4 results)