2005 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイドホルモンによる転写因子の制御とその変態に及ぼす役割
Project/Area Number |
17380033
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
比留間 潔 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (70374816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 秀一郎 農業生物資源研究所, 昆虫適応遺伝研究グループ, 主任研究官 (30360457)
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Keywords | エクダイソン / 幼若ホルモン / 転写因子 / ホルモンレセプター / 細胞培養 / タバコスズメガ / カイコ / ドーパデカルボキシラーゼ |
Research Abstract |
ドーパデカルボキシラーゼ(DDC)はタバコスズメガの真皮細胞では、脱皮期間中にエクダイソンの血中濃度が上昇し下降した後に起こる。転写因子E75Bの発現は、エクダイソンの濃度がピークに達した時に起こるNHR3の発現よりも少し遅れて起こり、その後エクダイソンが下がり始めた時にMHR4の発現が起こる。真皮細胞ではMHR4は20-hydroxyecdysone(20E)によって直接に誘導されるが、その発現は20Eによって誘導される阻害タンパク質が消失した後に起こる。ところがGV1細胞株では、MHR3の発現は20Eによって誘導されるが、E75BとMHR4は誘導されない。しかしこの細胞にMHR3のRNAiをtransfectionすると20Eの存在下でMHR4の発現が誘導された。このことはMHR3がMHR4の阻害タンパク質の一つである事を示している。またE75Bの発現を人為的に引き起こしても、20Eの存在下でMHR4の発現が引き起こされた。Two-hybrid assay法を使用して調べたところ、E75BはMHR3とheterodimerを形成してMHR3の阻害作用を阻害する結果、MHR4の発現が引き起こされることが明らかになった。一方、E75BとMHR4はDDCのプロモーターの活性を阻害することも明らかになった。それゆえ、E75BとMHR4はDDC発現の阻害タンパク質であり、DDCの発現はそれらの転写因子が減少した後に起こる。 以上の転写因子が昆虫の発育に及ぼす役割を直接に調べるために、トランスジェニックカイコを作成する予定である。カイコのホモログであるBHR3とBHR4を強制発現する系統、およびRNAiによる発現阻害の系統を作成する。今年度はそれらの遺伝子をクローニングし、コンストラクトを作成し始め、BHR4の強制発現およびRNAiのコンストラクトを完成させた。
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