2007 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイドホルモンによる転写因子の制御とその変態に及ぼす役割
Project/Area Number |
17380033
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
比留間 潔 Hirosaki University, 農学生命科学部, 教授 (70374816)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 秀一郎 農業生物資源研究所, 昆虫ゲノム研究情報解析ユニット, 主任研究員 (30360457)
|
Keywords | ホルモンレセプター / 幼若ホルモン / エクダイソン / カイコ / 器官培養 / 転写因子 / コミットメント / 遺伝子 |
Research Abstract |
BHR4を継続的に発現させ、mRNAが降下するのを阻害してBHR4の変態に及ぼす役割を調べた。熱ショックによりBHR4を過剰発現する遺伝子組み換えカイコを作製して、蛹化前に熱ショックを与える実験を行い、現れる影響を検証した。その結果、アポリシス後、脱皮行動を全く起こさずに幼虫のクチクラの内部で蛹化する個体が観察された。このことから、BHR4の発現が抑えられることが、脱皮行動を引き起こすことに重要である可能性が考えられる。この時に見られた異常個体はエクダイソンアゴニストを注射した時と同様な異常形態を示した。これらの結果から、BHR4はエクダイソン合成に関与していることが示唆された。BHR4は昆虫の脱皮変態に重要であることが証明され、転写因子を標的にした哺乳類に安全で昆虫特異的に作用する薬剤開発の助けになると考えられる。 昆虫の変態時には、種々のcellular eventsが一つの状態から他の状態に変化しなければならず、commitment及びdeterminationが起こる必要がある。その後、エクダイソンの作用により最終的な変化が引き起こされる。幼虫特異的組織の腹脚の爪(crochet)は蛹への変態の際に退化し、これはcrochetの細胞死が起っているためと考えられる。この細胞死は5齢3日目から始まり、4日には完了した。この細胞死のcommitmentには皮膚の蛹commitmentに重要な転写因子broadは関与していなかった。一方crochet細胞が次のcrochetを形成する能力の低下は4齢後半と終齢初期と2段階によって引き起こされることが予備実験の結果わかった。4齢後半の低下は脱皮を引き起こすエクダイソンによって引き起こされることがin vivoの実験により明らかになったが、終齢初期形成能力の低下は血中の幼若ホルモンの低下によって引き起こされていることが示唆された。
|