2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会性ハチ類の行動を統御する情報化学物質群の解明とその応用に関する研究
Project/Area Number |
17380038
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
小野 正人 Tamagawa University, 農学部, 教授 (70204253)
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Keywords | 昆虫 / スズメバチ / マルハナバチ / ミツバチ / 情報化学物質 / 社会性ハチ類 / 血縁構造 / 社会性進化 |
Research Abstract |
近年都市部で増加傾向にあり、刺害の多発しているコガタスズメバチの警報フェロモン成分の精密な分析を行った。コロニーを室内で飼育して日齢の明らかなワーカーの毒液に含まれる揮発成分の分析を行い、攻撃行動の誘起、フェロモン成分の生成のタイミングに関して知見を得た。一方、同様に増加傾向にあるアシナガバチ類の天敵として注目されているヒメスズメバチの体臭成分の生理活性について調べたが、被食者がそれを感知すると忌避性を示すことが示された。以上の研究によって示された行動を統御する情報化学物質は、危険な衛生害虫としての側面をもつ都市適応型のスズメバチやアシナガバチの刺害リスクを軽減する対策に応用可能と考えられた。 授粉昆虫としてのマルハナバチに関しては、クマガイソウとの送粉共生系に関して知見を得た。また、室内での人工飼育の過程で得られたコロニーの繁殖スケジュールや異種間の相互作用には、今後の増殖や利用を考える上での興味深いヒントが得られた。さらに、セイヨウミツバチに花香成分と報酬を連合学習させ、その情報機能を人為的に付与した揮発成分を利用して、標的作物の授粉を効率化する技術へと展開させるきっかけを与えた。昨今、農業における授粉用ミツバチの不足が社会問題化しているが、情報化学物質の利用によりハチの行動を統御することで、数少ない貴重なミツバチコロニーを効率的に働かせる技術の開発にも大きく寄与するものとなった。
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Research Products
(9 results)