2005 Fiscal Year Annual Research Report
フェロモン腺におけるガ類性フェロモン産生機構の包括的解析
Project/Area Number |
17380041
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松本 正吾 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 主任研究員 (60134516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本 賢一 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 研究員 (90333335)
ハル ジミー・ジョー 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 協力研究員 (70415181)
大西 敦 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 協力研究員 (50342762)
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Keywords | カイコ / フェロモン / 脂肪滴 / リポリシス / Gタンパク質結合型受容体 / RNAi / PBAN受容体 / アシル-CoA結合タンパク質 |
Research Abstract |
本研究は、カイコガを用い、ガ類昆虫がフェロモン腺で種固有の性フェロモンブレンドを生み出すメカニズムを分子および細胞レベルから包括的に解析し、その産生メカニズムの全体像を明らかにしようとするものである。カイコガの性フェロモン(ボンビコール)産生はフェロモン腺細胞がペプチドホルモンPBANの刺激を受けて促される。我々は最近、PBAN受容体(PBANR)遺伝子のクローニングに成功し、これが413アミノ酸からなる7回膜貫通型Gタンパク質結合型受容体(GPCR)であることを明らかにした。カイコガPBANRは、C末端にタバコガPBANRにない67アミノ酸配列を持つ。Sf9昆虫細胞でのPBANR-EGFPの発現解析から、このC末端配列はリガンドとの結合に伴う細胞内へのinternalization(脱感作)に必要であり、さらに、C末端tailを部分的に削除または改変したPBANR-EGFP解析から、G357-Q367の10アミノ酸配列がこれに必須であることを明らかにした。また、PBANRのinternalizationはクラスリン被覆小胞を介し、細胞内キナーゼおよび細胞外カルシウムイオンの流入を必要とするが、リソソームでの分解経路には向かわないことが示唆された。また、我々はフェロモン腺でのRNAi法を確立し、二本鎖RNA(dsRNA)をカイコガ蛹に注射することでフェロモン腺特異的遺伝子(desat1,pgACBP, mgACBP, pgFAR, PBANR)の発現を特異的に抑制した。その結果、これらの遺伝子産物がフェロモン腺細胞で実際に機能分子としてボンビコール産生に関わっていることを実証するとともに、pgACBPがボンビコール前駆体脂肪酸の貯蔵体である脂肪滴の形成に直接関与することを明らかにした。
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Research Products
(4 results)