2006 Fiscal Year Annual Research Report
フェロモン腺におけるガ類性フェロモン産生機構の包括的解析
Project/Area Number |
17380041
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松本 正吾 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 主任研究員 (60134516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本 賢一 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 研究員 (90333335)
ジミー・ジョー ハル 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 協力研究員 (70415181)
大西 敦 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 協力研究員 (50342762)
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Keywords | カイコ / フェロモン / 脂肪滴 / リポリシス / ESTデータベース / RNAi / リパーゼ |
Research Abstract |
本研究は、カイコガを用い、ガ類昆虫がフェロモン腺で種固有の性フェロモンブレンドを生み出すメカニズムを分子および細胞レベルから包括的に解析し、その産生メカニズムの全体像を明らかにしようとするものである。本年度は、カイコガ性フェロモン(ボンビコール)産生に関わる新規遺伝子を同定するために、カイコガESTデータベースを解析し、フェロモン腺cDNAライブラリーから312個の遺伝子を得た。これらのうち、カイコガESTデータベース中において70%以上がフェロモン腺cDNAライブラリー由来であること、あるいは既知遺伝子との相同性からフェロモン産生に関与している可能性の高いと予想されることを指標として選んだ88個のクローンについて、さらにRT-PCRによる組織特異的解析を行った。その結果、フェロモン産生細胞での脂肪滴分解に関与することが予想されるlipaseホモログなどの25クローンがフェロモン腺で優先的に発現することが明らかとなった。昨年度、我々はフェロモン腺でのRNAi法を確立し、フェロモン生合成過程(フェロモノジェネシス)の分子メカニズムを解析する上で有効な手段となることを実証した。そこで、上記のフェロモン腺で優先的に発現している個々の遺伝子の二本鎖RNA(dsRNA)をカイコガ蛹に注射し、これら遺伝子の発現抑制を行うことで実際にフェロモン産生に関与しているかどうか検証した。その結果、lipaseホモログをコードするひとつの遺伝子をノックダウンすることで、ボンビコール産生のみならず、脂肪滴のリポリシスも抑制されることが明らかとなり、この遺伝子がボンビコール前駆体の切り出しに関わるリパーゼをコードしていることが強く示唆された。
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Research Products
(6 results)