2007 Fiscal Year Annual Research Report
省資源・環境調和型農業のためのリン酸ベースによる家畜ふん堆肥施用技術の構築
Project/Area Number |
17380044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 豊彰 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 准教授 (10176349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 肇 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (10292351)
前田 忠信 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20008022)
金田 吉弘 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (30347207)
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Keywords | 家畜ふん堆肥 / リン酸組成 / 可給態リン酸 / リン酸ベース施用 / 窒素ベース施用 / 黒ボク土 / 沖積土 / リン酸流出 |
Research Abstract |
本研究では,リン酸ベースの家畜ふん堆肥施用体系(リン酸を堆肥で供給し,不足する窒素は化学肥料で捕う。)による高水準で持続的な作物生産とリン酸負荷量低減との調和しうる堆肥施用技術を検討した。 1.家畜ふん堆肥連年施用条件でのリン酸ベース施用体系の作物収量 無施肥条件で栽培した水稲の生育・収量より非アロフェン質黒ボク土の水田では家畜ふん堆肥3年間連用による残効はほとんど見られなかったが,畑圃場では堆肥施用による窒素・リン酸投入量が多かったために,特に鶏ふん堆肥Nベース区でデントコーンの生育・収量が高く,残効が大きいことが明らかとなった。アロフェン質黒ボク土水田において家畜ふん堆肥の連年施用条件での4年目の水稲栽培試験においては,鶏ふん堆肥区で初期生育から登熟初期から倒伏し,収量は無施肥区以下となった。一方牛ふん堆肥区では顕著な残効は見られなかった。以上のことから,連年施用条件での窒素およびリン酸の有効化(残効)は畜種の異なる堆肥と土壌型によって異なること,リン酸ベース施用は過剰な窒素・リン酸投入を防止しうること,堆肥連年施用においては過去の堆肥由来養分の蓄積を考慮した施用体系が必要であることが明らかとなった。 2.リン酸出量 沖積土壌を用いたライシメータ試験によって,浸透水中の全窒素濃度および全リン酸濃度から推定される溶脱養分量は堆肥全量区(窒素ベース区に相当)に比較して,堆肥・化学肥料併用区(リン酸ベース処理に相当)で少なかった。 家畜ふん堆肥施用土壌の表面流去水によるリン酸流出量推定値は,堆肥中の水抽出+重炭酸ナトリウム抽出リン酸の合計量によって推定できることが明らかとなった。沖積土に比べてリン酸固定力の大きい黒ボク土において堆肥由来のリン酸の流出量は低く,環境へのリン酸負荷抑制能が高いと考えられた。
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