2007 Fiscal Year Annual Research Report
耕地土壌における脱窒のエコ・ゲノミッス-根粒菌共生系のN_2Oパラドックスの解明と土壌微生物集団ゲノム科学の基盤構築-
Project/Area Number |
17380046
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南澤 究 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (70167667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 啓史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40206652)
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Keywords | 脱窒 / 亜酸化窒素 / 根圏 / nosZ / napA / ダイズ根粒菌 / 硝酸 |
Research Abstract |
本研究の目的は、農耕地土壌として特徴のある根粒根圏と水田土壌を対象として微生物による窒素変換過程(脱窒)を明らかにし、土壌窒素循環系のエコ・ゲノミクスの研究基盤を作ることにある。昨年度確立したレオナルドジャー栽培接種系等を用いて、根粒着生ダイズ根系の老化根粒からのN_2O発生に関与する生物の特定を検討した。nosZ遺伝子を保有する野生型のダイズ根粒菌B. japonicum USDA110を対照として、nosZ遺伝子を保有しないダイズ根粒菌Bradyrhizobium japonicumT7とnosZ遺伝子を人為的に破壊したダイズ根粒菌B. japonicum USDA110変異株の、ダイズへの接種実験による比較を行った。具体的には、30日間栽培した接種ダイズを、無処理、老化処理(D)、土壌添加処理(S)、D+S処理を行い、処理10日後の根圏から放出されるN_2Oの測定を行った。その結果、接種したダイズ根粒菌のN_2O還元酵素遺伝子nosZが存在しないと、老化根粒からのN_2O発生が顕著に増えることが明らかとなった。また、ダイズ根粒菌の硝酸還元酵素napAとnosZの2重変異株を作成し同様の検討を行ったところ、初歩的な結果ではあるが、当該2重変異株ではN_2O発生が観察されなかった。N_2Oの発生過程の一つであるNO還元酵素遺伝子norB遺伝子の公表されているプライマーを用いてPCR法による増幅とTRFLP解析を行ったが、検出された配列はすべてダイズ根粒菌Bradyrhizobium japonicumと相同性の高い配列であった。以上の結果より、老化根粒近辺の硝酸がN_2Oの発生源になっており、根粒菌が脱窒細菌としてN_2O発生に関与していることが示唆された。
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