2005 Fiscal Year Annual Research Report
RNAポリメラーゼ改変による微生物潜在機能の発現と転写機構の統括的解明
Project/Area Number |
17380058
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Research Institution | National Food Research Institute |
Principal Investigator |
越智 幸三 独立行政法人食品総合研究所, 生物機能開発部, 室長 (70353985)
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Keywords | RNAポリメラーゼ / ppGpp / 緊縮制御 / 転写制御 / 二次代謝 / 枯草菌 / Thermus thermophilus / 放線菌 |
Research Abstract |
放線菌S.coelicolorを用いた研究から、巨大マルチマーを形成するEshA蛋白質の機能が細胞内ppGppの微調整にある事を証明した。すなわち、EshAコード遺伝子を破壊すると細胞内ppGppは二次代謝誘発に必要なppGppの閾値に達することができず、そのため抗生物質生産能を失うことを解明した。また、このEshA蛋白質はcAMP結合ドメインをもっており、実際cAMPと結合しうる事をBiacoreを用いて生化学的に立証した。eshA遺伝子はクロモゾームの先端近くにあり、菌を高温で育成させると高率に脱落して抗生物質生産能を失うことから、二次代謝の遺伝的不安定性の原因になるものと結論した。更に、シグマ因子HrdBに特定の変異を有する変異株は抗生物質生産能を失っているが、この株にrif変異(RNAポリメラーゼの変異)を導入すると抗生物質生産能は完全に回復することを見い出した。 高度好熱菌Thermus thermophilusについては、本菌がE.coli、枯草菌と同様にアミノ酸欠乏に呼応したppGpp生成能を有すること、ならびに本菌の転写系はppGppに極めて敏感であることをリボゾームRNA遺伝子(23Saと23Sb)と精製RNAポリメラーゼを用いたインビトロ転写実験により明らかにした。更に、精製リボゾームを用いた実験からアミノ酸欠乏によるppGpp生成はリボゾーム依存性であることを、relA変異株(ppGpp合成酵素を欠損)とrelC変異株(リボゾーム蛋白質L11に変異)を用いて実証した。 枯草菌においては、本菌の生産する抗生物質NTDが、自身のグルコース取り込みに関与するglcC遺伝子の発現を活性化することを見い出した。これは抗生物質の生産菌自身における生理的意義を暗示するものとして極めて重要である。
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Research Products
(3 results)