2006 Fiscal Year Annual Research Report
機能性アセトゲニンの有機合成を基礎とする呼吸鎖酵素複合体-Iの研究
Project/Area Number |
17380073
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三芳 秀人 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20190829)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北 潔 東京大学, 医学系研究科, 教授 (90134444)
|
Keywords | ミトコンドリア / 呼吸鎖酵素阻害剤 / アセトゲニン / 複合体-I |
Research Abstract |
本研究では、強力な複合体-I阻害剤であるアセトゲニンにさまざまな機能性を組み込んだプローブ分子を有機合成し、これを駆使して下記の3項目の研究課題を遂行することを計画した。 1)光分解性アセトゲニンを合成し、これを用いて光親和性標識実験を行い、アセトゲニン結合部位を明らかにする。 2)アルキルスペーサー部の機能についての知見を得るために、酵素内の結合部位を反応テンプレートと見立て、γ-ラクトン環部とbis-THF環部を酵素存在下で反応させることによりスペーサー部を構築する"Click Chemistry"の応用を試みる。 3)γ-ラクトン環を持たない誘導体(Δlac-アセトゲニン)が天然型アセトゲニンとは異なる作用性を示す全く新規な阻害剤であることが判明したことから、Δlac-アセトゲニンについて種々の機能性を分子内に組み込み、複合体-I研究領域における全く斬新な研究ツールを創製する。 課題(1)については、γ-ラクトン環の代替構造としてアリールジアジリン環を置換し、アルキル側鎖末端に[125I]4-iodophenyl基を導入した化合物が良好な光親和性標識プローブとなることが明らかになった。この化合物を用いて光親和性標識実験を行い、アセトゲニンの結合サブユニットがND1であることを明らかにした。 課題(2)に関しては、γ-ラクトン環部およびbis-THF環部にそれぞれ三重結合およびアジド基を導入した部分構造を合成し、ミトコンドリア内膜とインキュベーションして[3+2]-環化付加による1,2,3-トリアゾール環形成反応が起こり阻害活性の飛躍的増大が起こることを期待した。しかし、検討した範囲内では環化付加は全く起こらなかった。 課題(3)については、Δlac-アセトゲニンが全く新規な複合体-I阻害剤であることを強く支持する新たな実験事実が明らかになった。
|
Research Products
(3 results)