2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病発症におけるリポタンパク受容体シグナル伝達系の役割に関する研究
Project/Area Number |
17380081
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤野 貴広 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 助教授 (40292312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 晴造 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 講師 (50363263)
能勢 眞人 愛媛大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70030913)
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Keywords | アポE / リポタンパク / 糖鎖修飾 / シアル酸 / リポタンパク受容体 |
Research Abstract |
アポリポタンパクE(アポE)は主に肝臓で合成される糖タンパク質で、体循環系ではVLDLやカイロミクロンレムナントの主要アポタンパクとしてリポタンパク代謝に重要な役割を担っている。一方、アポEはマクロファージや脳神経系でも合成されるが、これまでの報告では肝臓で合成されたアポEとは性質の異なることが示されている。特に、脳神経系で発現するアポEはシアル酸修飾を受け、ヘテロな分子種として脳髄液中に存在していることが明らかにされている。ヒト・野生型アポE2、E3、E4及び様々なアミノ酸置換変異体cDNAを組み込んだアデノウィルスベクターを構築し、ヒト・グリオーマ細胞にて大量発現を行った。また、このアデノウィルスをアポE-KOマウスより調製した腹腔マクロファージに感染させ、アポEを発現させたところ、グリア細胞と同様にシアル酸による修飾を受けることが明らかとなった。これまでの結果に基づいて、PCRによる突然変異導入によりC末端に存在する4箇所のSer/Thr残基をAlaに置換した。アポE・Ser 296 Alaでは全ての分子種がシアル酸結合型の分子量ヘシフトし、一方、ApoE・Ser/Thr 289/290 Ala/Alaではシアリダーゼ処理したアポEと同一分子量にシフトした。また、アポE・Ser 263 Alaでは野生型と同様であった。これらの結果は、アポEに見られる主要なシアル酸修飾はSer 290に付加するムチン型糖鎖への結合であることが示唆された。 アポEのシアル酸修飾の意義を解析する目的で、シアル酸修飾アポE及び未修飾アポEのDMPCリポソームに対する結合能を解析した。さらに、リポタンパク受容体(LDL受容体、VLDL受容体、ApoER2受容体)を発現させたCHO細胞を用いて標識β-VLDLの取り込みのシアル酸修飾アポE・DMPCリポソーム複合体による競合阻害活性から、リポタンパク受容体に対する親和性を解析した。しかし、いずれもシアル酸修飾を受けていないアポEとの間に差は認められなかった。
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