2005 Fiscal Year Annual Research Report
山地森林流域における尾根・谷の微気象と蒸発散の空間分布特性
Project/Area Number |
17380088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 雅一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10144346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
執印 康裕 宇都宮大学, 農学部・森林科学科, 助教授 (60221305)
堀田 紀文 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (00323478)
田中 延亮 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (10323479)
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Keywords | 微気象 / 複雑地形 / 気温鉛直分布 / 二酸化炭素濃度 / 空間分布 |
Research Abstract |
東京大学千葉演習林袋山沢の幼令スギ・ヒノキ林を対象に、斜面上部下部の蒸発散量、土壌水分、土壌呼吸量を計測するとともに、流域内の微気象の空間分布計測を行ない、斜面がもたらす不均一さを明らかにするための観測設備を構築し、計測を進めた。 1.0次谷に谷を横断するワイヤーを張り、3次元的に温度、湿度、二酸化炭素濃度計測を実施した。谷の中央部の気温鉛直分布が、晴天日に最高気温の発生する高さが夏、冬で異なることなど、谷の3次元温度分布が明らかとなった。二酸化炭素濃度の変化も明瞭に捉えられている。 2.尾根部と谷部の樹木蒸散量の差異を、定量的に明らかにする観測では、樹液流計測によって、日出後に蒸散を開始する時刻が斜面部位で異なることについて、日射、飽差による微気象の差異がもたらすだけではなく、谷底部の結露の影響を受けている可能性が示された。隣接する70年生壮令林における計測では、概ね斜面部位毎の微気象で説明される結果であった。 3.植栽された樹木の成長が斜面部位で異なることについて、谷を横断する側線約50mについて、樹高、幹直径、葉窒素含有量、土壌水分、地下水位、土壌溶液水質、土壌窒素量などが調べた。5年生のスギの成長が谷で旺盛であり、尾根部が劣る理由は、尾根部における水ストレスがもたらすものではなく、湿潤な谷部の土壌有機物の分解による窒素の供給が谷部の活発な成長に関わっているという結果を得た。 1.3.の調査については、観測期間が未だ短いので、継続して観測記録を蓄積した上で、詳細な解析を行う。
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