2006 Fiscal Year Annual Research Report
花粉1粒を対象とした遺伝子型判別による樹木の送粉過程解析
Project/Area Number |
17380095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井鷺 裕司 京都大学, 農学研究科, 教授 (50325130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陶山 佳久 東北大学, 農学研究科, 助教授 (60282315)
柴田 銃江 森林総合研究所, 東北支所, チーム長 (10343807)
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Keywords | 送受粉 / 適応度 / 繁殖成功 / 生物保全 / 被子植物 |
Research Abstract |
解析試料のサンプリングに関しては、小川学術参考林において保存状態の良い林分に隣接する、断片化した森林内を対象に、林冠部までアクセスできるよう常設固定梯子等の設備を整え、花粉を採集した。花粉採集時には、送粉者の種、個体数、訪花日時、気象条件、樹木の開花フェノロジー等の記録を行った。採集したサンプルは冷凍または冷蔵して、宅配便で広島大学および東北大学の研究室に送り、遺伝解析を行った。 送粉者の体表に付着している個々の花粉粒を取りはがし、1粒ごとにDNA抽出、マイクロサテライト座位の増幅、マイクロサテライト対立遺伝子の決定を行った。複数の遺伝子座において遺伝子型の決定を行うことで、送粉者が持つ花粉の遺伝的多様性や花粉親の推定を行った。遺伝解析の結果は、送粉者のタイプ、採集時の環境条件、等とあわせて総合的な解析を行った。従来、森林生態系の断片化が送粉者に与える影響に関しては、送粉者の個体数変化、送粉者のタイプの変化等に関わる観察をもとに評価されていた。本年度の研究では、これより更に一歩踏み込み、個々の花粉粒の遣伝的性質の変化、すなわち、花粉量だけでなく、花粉移動距離、花粉の遺伝的性質の変化など、次世代の樹木の遺伝的性質に関して、より本質的に関わる項目について、初めて直接的な解析・評価を行った。 研究成果は7本の学術論文として公表したほか、平成19年3月に行われた日本生態学会大会において公募式シンポジウム「花粉1粒の直接遺伝解析から何を見るか-1粒でもわかる事と1粒だからわかる事」を企画し、成果の公表を行った。
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Research Products
(7 results)