2007 Fiscal Year Annual Research Report
同位体標識および酵素学的両アプローチによるスギ心材ノルリグナン生合成経路の検討
Project/Area Number |
17380104
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 貴規 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (20252281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 和彦 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80222256)
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Keywords | ノルリグナン / 生合成 / 同位体 / トレーサー / 酵素 / スギ |
Research Abstract |
スギ材に含まれるアガサレジノールとセクイリンC(共にノルリグナンと称される植物二次代謝物群に属する)の生合成を酵素学的に検討した。アガサレジノールを基質とし、これを補因子の存在下、スギ材から調製されたミクロソーム(膜酵素画分)と反応させた結果、基質の一水酸化物であるセクイリンCおよびメタセクイリンCの生成が認められた。安定同位体標識基質を用いた場合、安定同位体標識された一水酸化物の生成が確認され、したがってノルリグナン生合成としてアガサレジノールからセクイリンCへの水酸化の過程が初めて証明された。この酵素反応を、補因子の種類、pHおよび温度を変えて(補因子NADPH, NADH, FAD, FMNの単独あるいは組み合わせ;pH5,7,9;温度30℃,45℃,60℃)行った結果、補因子NAD(P)H+FAD、pH5,7、温度30℃において酵素活性の高いことが分かった。また、本酵素活性は、シトクロームP450系酵素の阻害剤や一酸化炭素の影響を受けず、シトクロームP450系酵素ではないことが示唆された。これまで、ノルリグナン生合成研究は他の植物二次代謝物の場合と比較して遅れており、今回の成果は植物基礎科学の充実に貢献できたと考える。また、スギ材中のアガサレジノールやセクイリンCが、材特性の一つとなる材色等に関係するとされ、今回の生合成調査は優良スギ育種のための足掛かりにもなることを期待している。
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Research Products
(9 results)