2007 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース系光応答性電子輸送機能超分子材料の分子設計と利用開発
Project/Area Number |
17380107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中坪 文明 Kyoto University, 農学研究科, 教授 (10027170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 俊幸 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50335303)
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 教授 (00217308)
上高原 浩 京都大学, 農学研究科, 助教 (10293911)
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Keywords | セルロース / ポルフィリン / フラーレン / 光電変換 / 太陽電池 |
Research Abstract |
本研究の目的はセルロース分子の物理的及び化学的特性を活用した光電変換機能有機超分子材料の構築である。前年度において、セルロースの役割分担型機能化の概念に基づき、6位の一級水酸基にポルフィリン基(置換度:DS 0.6)、2,3位の二級水酸基にステアロイル基(C18)を併せ持つ位置選択的置換セルロース誘導体を、天然セルロースから高収率で合成した。また、そのLB膜が高い光電流量子収率を示すことを確認した。そこで本年度は、更なる光電流収率の向上を目指し、セルロース誘導体の化学構造を最適化(6位ポルフィリン基のDS、2,3位脂肪酸疎水基の側鎖長、ポルフィリン中心金属)を検討した。その結果、色素の会合の抑制と色素の高密度化を満たす最適なポルフィリン基DSは0.38であり、電子移動の観点から最適な脂肪酸疎水基はミリスチル基(C14)、また光電流発生においてバルク水溶液から励起色素への電子移動が律速であることから、最適な中心金属はポルフィリン環の酸化電位を最も低下させたパラジウムであることを見いだした。さらにセルロース誘導体とフラーレンの混合膜から、現在の光電流実験で報告されている最大外部量子収率に匹敵する値を実現し得た。この膜において、フラーレン分子がセルロース分子鎖に沿って一定の距離で配列したポルフィリン基の空間に挿入された配置、すなわちポルフィリン環-フラーレンπ錯体の形成が示唆された。上記の結果は、専門誌CelluloseおよびMacromo1. Chem. Phys.に投稿、受理されている。
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