2006 Fiscal Year Annual Research Report
海藻のアレロケミカルによる植食動物幼生と付着珪藻の排除機構に関する研究
Project/Area Number |
17380111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷口 和也 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (40282082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 実 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (70050680)
吾妻 行雄 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (50292256)
伊藤 絹子 東北大学, 大学院農学研究科, 助手 (90191931)
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Keywords | 海中林 / カジメ / 磯焼け / 光合成 / 栄養塩濃度 / クロロフィル量 / 付着珪藻 |
Research Abstract |
高水温・貧栄養の海況条件下、夏から秋にかけて海中林が大量に枯死する磯焼け現象は、栄養塩欠乏がもっとも重大な発生要因であることが本研究によって始めて明らかになった。褐藻カジメを栄養塩強化PESI海水(富栄養)、男鹿半島産海水(貧栄養)、窒素・リン除去ASS_2人工海水(栄養塩欠乏)の3種の海水を用い、光量子束密度180、10、5μmol/m^2/秒、水温20、26、28、30℃の各条件でそれぞれ培養した。富栄養条件では、濃度依存的に栄養塩を大量に吸収し、クロロフィル量を増加、光合成速度を高進させ、28℃以上の高水温にも適応して高い成長率を維持した。カジメは、26℃が生育の上限水温と考えられていた。貧栄養条件では、富栄養条件と比べて栄養吸収速度が低下、成長率も著しく低下した。栄養塩欠乏条件では、早期に細胞の劣化をきたして死亡した。特に水温28、30℃の高水温、180μmol/m^2/秒の高光量子束密度では代謝速度が高まるので、早期に細胞が劣化して、死亡した。また、水温20℃であっても細胞が早期に劣化した。褐藻カジメの生育に最適な栄養塩濃度は、アンモニア態・硝酸態窒素がそれぞれ約200μg/l、リン酸態リンが50μ9/lであると考えられる。 付着珪藻Naviclrla britannica、Cylindrotheca closterium、Entomoneis alata の温度と光強度に対する閾値を明らかにするため、光合成速度を測定した。付着珪藻3種は、水温に対して光量子束密度140mol/m^2/秒では水温25〜28℃で20℃の15倍、30℃の2倍の速度を示した。光強度に対しては、水温12℃で30〜140μmol/m^2/秒でほぼ等しく高い速度を、10μmol/m^2/秒で2分の1の速度に低下した。
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Research Products
(7 results)