2006 Fiscal Year Annual Research Report
広塩性魚における塩類細胞のライフサイクルとイオン輸送機能の可塑性
Project/Area Number |
17380115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 豊二 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (70221190)
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Keywords | 塩類細胞 / 分化過程 / ターンオーバー / ニジマス / ティラピア / FoxI3 / 浸透圧調節 / ライフサイクル |
Research Abstract |
硬骨魚の鰓に分布する塩類細胞はイオンの取り込みや排出を行い、浸透圧調節に重要な役割を担っている。本研究では塩類細胞の分化過程の解明を目指した.まず,ニジマスを淡水から海水、再び淡水へと移行させた際の塩類細胞の数や分布およびその変化の可逆性を観察することで、塩類細胞のターンオーバー機構や分化過程の検討を行った。その結果,淡水に馴致した淡水群と淡水戻し群では、一次鰓弁上と二次鰓弁上に塩類細胞が分布したのに対し、海水に馴致した海水移行群では主に二次鰓弁上に塩類細胞が分布することが確認された。一次鰓弁上の塩類細胞数は各群において変化は無く常に一定であったのに対して、二次鰓弁上のものは淡水から海水への移行によって有意に減少し、海水から淡水への再馴致によって有意に増加しており、人為的な移行によって塩類細胞の分布が可逆的に変化することが確認された。次に、塩類細胞で発現していると推定されるfoxi3について、塩類細胞に関する知見の豊富なティラピア(Oreochromis mossambicus)を用いてcDNAクローニングを行い,その同定に成功した.またin situ hybridization法により,鰓においてFoxI3が塩類細胞で発現することが示された。Foxファミリー分子群は細胞の分化や増殖に関与する転写因子であることから、ティラピアにおいてFoxI3は塩類細胞の分化に関与している可能性が高い。今後、FoxI3の機能を詳細に解析し、またマーカーとして未分化塩類細胞の検出に用いることで、塩類細胞の分化過程に関する理解が飛躍的に深まることが期待される。
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Research Products
(6 results)