2007 Fiscal Year Annual Research Report
各種水質汚染物質の魚類好中球に対する免疫毒性評価と分子生物学的解析
Project/Area Number |
17380116
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
延東 真 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学技術研究科, 教授 (80128355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舞田 正志 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (60238839)
片桐 孝之 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (50361811)
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Keywords | 汚染 / 環境 / 水産学 |
Research Abstract |
19年度は、非致死的な影響として食欲に注目し、食欲の変化から化学物質のコイに対する影響を評価できるかどうかを検討した。化学物質はカドミウムを用い、3つの試験区、対照区、1/10LC50区(10.54mg/L)、1/2LC50(5.27mg/L)を設定し、48時間暴露した。暴露前、暴露期間中と期間後における摂餌回数を比較して、カドミウムによる摂餌の影響を調べた。さらに、食欲に関係するホルモンNeuropeptide Y(NPY)、Leptinl,2のmRNAの発現量をリアルタイムPCRで定量し、カドミウム暴露の影響を考察した。また、鰓、味蕾の組織切片を作製して、暴露による組織学的な変化を観察した。 3つの試験区いずれにおいても、暴露前、中、後における摂餌回数には、大きな増減は認められなかった。同様に、NPY、Leptinl,2のmRNA量にも目立った増減は認められなかった。病理組織学的検討を行ったところ、鰓には1/10LC50区、1/2LC50区で呼吸上皮の細胞核が崩壊する壊死と核の腫大が認められた。一方、味蕾は対照区との違いは認められなかった。 コイでは、カドミウムの半数致死濃度の半分の濃度においてさえも、摂餌回数に変化が無かったこと、食欲に関係する遺伝子の発現量に変化が見られなかったこと、味蕾に病理組織学的な変化が認められなかったことから、影響はほとんど無いことが示唆された。自発摂餌を用いた毒性評価は、検討の余地があると考えられた。
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