2007 Fiscal Year Annual Research Report
下痢性貝毒原因プランクトンの増殖とその葉緑体起源生物の出現との関係
Project/Area Number |
17380118
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小池 一彦 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (30265722)
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Keywords | 下痢性貝毒 / Dinophysis / 三陸 / クリプト藻 / Teleaulax / Amylax / 有毒渦鞭毛藻 / 細胞内共生 |
Research Abstract |
本年度は、岩手県におけるDinophysis fortiiの調査を論文にまとめ、それを発表した。また、Dinophysis以外に、Amylax triacanthaおよびA. buxusにもクリプト藻を起源とする葉緑体を見つけ、DNA解析と透過型電子顕微鏡による観察を実施し、それらがDinophysisと同じくクリプト藻のTeleaulaxに起源を持つことを見出した。ただしAmylaxの場合は、Dinophysisとは異なり、クリプト藻を丸ごと取り込み、その後クリプト藻の核のみを消化するという、特異な同化戦略を取っていた。その取り込み様式の違いによるものなのか、Amylaxの出現はTeleaulaxの出現と完全に一致する傾向にあった(Dinophysisの場合はTeleaulaxのそれよりも少し遅れる傾向にある)。AmylaxにしろDinophysisにしろ、どのような理由・機構により特定のクリプト藻(これらの場合はTeleaulax)を認識し、取り込みに至るのかは不明であるが、Teleaulax側に同化後に利用されやすい特異的な機能があると想像され、今後Teleaulaxを中心としたより詳細な研究の展開が期待される。このため、Teleaulaxの培養株を多数作成したが、それを用いた実験を行うには至っていない。 なお、付着性渦鞭毛藻のSinophysis canaliculataに、同じくクリプト藻様の葉緑体を見出し、同様にDNA解析および透過型電子顕微鏡の観察に供した。しかし、本種の場合、葉緑体はラン藻に起源を持っていた(投稿準備中)。
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Research Products
(4 results)