2006 Fiscal Year Annual Research Report
自治村落的農村社会の変貌と新たな農村行政・団体組織構築の条件解明に関する研究
Project/Area Number |
17380129
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大鎌 邦雄 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (40292255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
両角 和夫 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (30312622)
坂下 明彦 北海道大学, 大学院農学研究院, 教授 (70170595)
川手 督也 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (80355263)
柘植 徳雄 東北大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80281955)
石井 圭一 東北大学, 大学院農学研究科, 講師 (20356322)
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Keywords | 農業経済学 / 農業集落 / 地方行政 / 農業協同組合 / 農家家族 / 農村社会 / 自治村落 |
Research Abstract |
本年度の主要な成果は、第一に本課題の基礎的条件である農家家族の変貌について、家族経営協定の側面から把握したことである。これまでの家族成員に関する「イエ」的役割期待が崩れ、新たに家族経営協定という「公的」機関が「介入」して形成された関係により家族関係が維持されていること、さらにその関係の中心に近代的「夫婦」関係があり、それをコアにして家族成員の新たな関係が形成されていることを明らかにした。これらについては川手により、著書及び論文にまとめられた。 第二に、農業集落における社会関係の変貌について、北海道及び東北をフィールドに、集落営農、農業生産法人、新規参入支援対策を切り口にしてアプローチし、一定の見通しを得た。これらは東山、柳村および研究協力者の小山により論文としてまとめられた。 第三に、農協の制度と組織にっいて、近年の特徴にっいて概観した。 第四に、本課題の焦点である農村行政や農協の事業とその組織基盤については、秋田県由利本荘市(旧西目町)で聞取り調査および資料調査を行った。現時点における農村の社会関係について、生産組織編成の変貌の面から把握した。また旧西目町の行政執行体制及び農協や土地改良組織について、膨大な量の決算、事務報告等行政資料、集落代表により組織された生産委員会に関する諸資料の収集を行い、一部整理分析に取りかかった。その結果特徴的なこととして、財政的には戦前期に蓄積された村有財産に依拠した補助金交付による事業誘導方式が財産が枯渇した後も継続したこと、それを基盤として戦前期に形成された農業集落を基盤とした執行システムが高度成長期以降も基本的には継続されたという仮説を得た。こうした農業行政執行システムの「慣性力」という仮説について、農村社会関係の変貌を踏まえて、実証的に検討することが来年度の課題である。
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Research Products
(7 results)