2007 Fiscal Year Annual Research Report
食の安全・安心時代における関係性マーケティグの可能性に関する研究
Project/Area Number |
17380136
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀田 和彦 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (00192740)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野見山 敏雄 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 准教授 (20242240)
坂爪 浩史 北海道大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (80258665)
冬木 勝仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (00229105)
新開 章司 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (30335997)
田村 馨 福岡大学, 商学部, 教授 (20258510)
|
Keywords | 消費者 / 生活者 / 深層心理 / CHAID分析 / 関係性マーケティング / 地産地消 |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年度にあたり、これまでの研究成果を整理し研究成果報告書としてそれを整理した。その内容は以下の通りである。本研究においてはまずはじめに、農業分野においてまだなじみの薄い「関係性マーケティング」の概要について触れ、その対象範囲、伝統的マーケティングとの違い、利点・欠点、農業分野での関係性構築の可能性について理論的整理を試みている(序章)。それらを踏まえ、消費者分析グループは、食ビジネスにおける関係性マーケティングの展望(1章)、牛乳をめぐる消費者行動と生産段階との関係(2章)、消費者の価値観と店舗選択行動(3章)、およびそれらを踏まえた直売所の経営戦略と組織との関連性(4章)、日本、韓国、ベトナムにおけるコメ消費に関する価値観および消費行動の研究(5章)を実施している。これらの研究を通じて、関係性マーケティングのキー概念である消費論における「消費者」と「生活者」の識別聯よび、生活者の農産物消費行動における、購入店舗、商品に求める特徴、機能、またそのような生活者の基本的ニーズそった、生産者側の対応としての経営戦略の実態とそれを可能にする生産・販売組織のあり方について検討をおこなった。 次に生産者と消費者の関係性分析グループでは、福岡および宮城での共同調査および各研究者の独自の調査により、以下の点が明らかになった。まずはじめに宮城の調査においては健康・有機米+環境保全の意味合いも込められたラムサール条約締結地域における有機米の生産・流通・販売・消費者交流の実態を整理した(8章)。さらに生産者と生活者の交流実態については、日本およびアメリカ、イタリアでの直売所(ファーマーズマーケット)等への調査により、生産者と生活者の関係性構築のための交流実態を整理した。具体的には日本、イタリア、アメリカの調査においてファーマーズマーケット、CSA、生協等の経営戦略およびそれらを支える組織の実態を整理し、日米の農産物直売所施設における出荷者と消費者の関係性(6章)として整理した。またさらに、生産側の消費者への関係性構築のための具体的対応の場面として、中国野菜産地での日本企業と生産者との関係性の問題(7章)、生協と産直産地の関係性継続の条件の解明(9章)、安全安心を付加した畜産物の取り組み実態と関係性マーケティングの可能性(10章)についても検討を行った。 これらの研究実績によって、本研究課題である食の安全・安心時代における関係性マーケティングの可能性を探る上での消費、生産両面での全体的整理が可能となった。またこれにより、各経営主体における、消費者(生活者)への有効な関係性マーケティング戦略の具体的あり方、方向性が整理できたものと思われる。
|
Research Products
(4 results)