2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17380144
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中丸 治哉 神戸大学, 農学部, 教授 (80171809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 明夫 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (00263400)
武田 郁郎 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60227022)
瀧本 裕士 富山県立大学, 短期大学部, 助教授 (60271467)
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Keywords | 緑のダム / 洪水緩和機能 / 渇水緩和機能 / 対照流域法 / 農地造成 / カーブナンバー法 / 浸入能 |
Research Abstract |
1.表層土壌の浸入能と直接流出特性との関係に関する検討 昨年度に引き続いて、全国13地区の農地造成流域と山林流域(農林水産省)を対象とし、これら流域で観測された洪水データ(累加雨量-直接流出量関係)に基づいて直接流出特性を検討した。カーブナンバー法を適用して求められた各流域の標準的な乾湿状態でのCN値と、各流域で測定されている冠水型浸入能試験による60分積算浸入量の平均値を対比し、積算浸入量を説明変数、CN値を従属変数とした線形回帰式と予測値の95%信頼区間を示した。その結果、信頼区間の広さから見て、表層土壌の浸入能の大きさだけでは、直接流出量の大小が説明できないことが分かった。加えて、直接流出量が降雨前の乾湿条件に左右されることに注目し、洪水直前流量を乾湿の指標とした累加雨量-直接流出量関係式として、カーブナンバー法の修正式と厳らの提案式を検討し、総雨量と洪水直前流量から、洪水時の総直接流出量がうまく説明できることを明らかにした。 2.奈良県五条吉野山林流域と島根県東部山林流域における水文観測と植生・土壌調査 上記の流域では、研究分担者らによって降水量、流量、水質等の水文観測が実施された。特に、奈良県五条吉野山林流域では、比較的密な状態のスギ人工林の斜面と、自然雑木林の斜面にそれぞれ10メートル四方の試験プロットを設け、植生調査、土壌調査を実施した。その結果、両斜面の土壌物理諸量の平均値に統計的に有意な差はなく、飽和透水係数の分散値に有意な差が見られた程度であった。なお、表層土壌の飽和透水係数の平均値だけを見れば、洪水時でも全ての降雨は浸入して表面流は発生しないが、飽和透水係数のばらつきがかなり大きいため、透水性の小さい地点での局所的な表面流の発生は起こりうると判断された。さらに、同流域での水質連続観測の成果を踏まえて、面前からの流出負荷量の推定精度についても議論した。
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Research Products
(3 results)