2006 Fiscal Year Annual Research Report
イネの穂分化を支配する感温性メカニズムの解明とセンシング部位の特定
Project/Area Number |
17380153
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
岡田 益己 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター寒冷地温暖化研究チーム, チーム長 (10355274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 菊一 岩手大学, 農学部, 教授 (50232434)
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Keywords | イネ / 発育 / 穂分化 / 感温性 / 感光性 / 基本栄養生長性 |
Research Abstract |
本研究は、イネの穂分化に作用する感温メカニズムを解明し、変動気象下での発育反応の的確な評価に役立てることを目的とする。本年度は、1)地上部感温性と日長感応性の関係、2)生長点感温性の発現期間、3)地上部感温性の感応部位について解析した。1)ではハウス4棟を用意し、うち2棟を通気により外気温+約1℃以内の気温に制御し(低気温区)、他の2棟を暖房と通気により低気温区+4℃に制御した。各気温処理区のうち1棟を、電照により24時間日長とし、他は自然日長とした。品種あきたこまちを水温21.5℃の水槽内で栽培して、定期的に各処理間でサンプルを移動し、幼穂形成期を調査した。2)では水温18.5℃と21.5℃の水槽で、早晩性が大きく異なる水稲8品種を栽培して、5-7日間隔に両水温間でサンプルを移動し、出穂日を観察した。3)では2)の水槽であきたこまちを栽培し、生長点のみ、葉鞘のみあるいは葉の半分が水につかるようにポットを配置し、幼穂長を調査した。気温は23℃を下回らないように暖房で調節し、常に水温より高く維持した。 1)では、自然日長がイネにとって短日となる7月9日出芽試験で、地上部感温性と日長感応性の関係が明らかになった。すなわち自然日長下では、気温処理間移動の影響が認められず、いずれの移動処理も幼穂形成期がほぼ同時期となった。一方、日長処理間移動では7葉期以降に日長の作用が現れ、7葉期以降も長日下にあったサンプルだけに気温処理の影響が現れた。この結果から、地上部感温性は長日下でのみ発現するという新知見を得た。2)では、水温間移動処理の影響が、いずれの品種も7-8葉期で終息した。このことから生長点感温性の発現終期は品種の早晩性にかかわらず7-8葉期と推定された。3)では、葉の約半分が水中にある場合にのみ、幼穂形成が遅れた。このことから、地上部感温性の感応部位は葉と推定された。
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Research Products
(3 results)